今回の嫦娥 コスプレのスタイリングで最も心惹かれたのは、青と白のグラデーションと金色の装飾の組み合わせです。リボンや流蘇(タッセル)も加わり、歩くたびに非常に瑞々しいドレープ感が生まれます。撮影時は大きな青い月のバックドロップとリアルな白い花むらを特別に配置し、ライティングにはサイド逆光を取り入れることで、髪の毛の毛先や透明なチュールスカートの輪郭を浮き上がらせ、全体の空気感を神話に登場する清冷で優しい月宮へと近づけました。
小道具に関しては、丸うちわ(团扇)や巻物はすべてハンドメイドの特注品で、レンズを通した時の細やかなテクスチャが非常に素晴らしいアクセントになっています。「これが夢だと知っていたなら、なぜ目覚める必要があろうか」という幻影のような儚さを表現するため、レタッチ(後期編集)で水紋や月の暈(ハロー)に柔らかなぼかし処理を施しつつ、衣装の生地が持つ本来の美しい光沢感はそのまま残しました。実際のところ、嫦娥というキャラクターは外見こそ孤独ですが、内面にはある種の執念への固い守りを秘めています。そのため、ただ純粋に冷たいだけでなく、眼差しの中に少しストーリー性を宿らせたいと考えました。
撮影当日はスタジオ内がかなり暑く、ウィッグや幾重にも重なる襦裙のせいで動きが制限されましたが、だからこそシャッターが切られる一瞬一瞬の定格をより愛おしく感じました。例えば、寝そべっているカット(写真2)は実は腰の痛みを和らげるためのものだったのですが、結果として思いがけず気だるげでリラックスした良いニュアンスが撮れました。コスプレをするということは、視覚を通じてある種の感情を翻訳することでもあります。今回は月光の清らかな輝きと人の体温を織り交ぜた中国風写真に仕上げました。時空を超えた穏やかな対話を、皆さんに感じていただければ幸いです。