今回は思い切って極めて透明感のあるナチュラルな薄めメイクに切り替えました。『アークナイツ』に登場するMon3tr特有の冷徹でどこか危険を孕んだ気品にずっと魅了されてきたため、厚塗りの派手なメイクで固めるのではなく、研ぎ澄まされた陰影と眼差しの力強さで顔立ちの輪郭を際立たせたいと考えたからです。
ベースメイクは肌本来の自然な息遣いを残したセミマットな仕上がりを追求。アイメイクは肌馴染みの良いアースカラーをベースに薄く広げ、アイラインの繊細な跳ね上げと一本一本セパレートされた美しいまつ毛の表現に全神経を集中させました。Mon3trの黒地に蛍光グリーンのメッシュが入ったウィッグと呼応させるため、目尻にダークグリーンのシャドウをわずかにぼかし込み、光が差した際にさりげなく色味がリンクするよう工夫。今回は新たなシェーディング手法も取り入れ、くすみを一切出さずに頬の立体感をシャープに引き立てました。顔のアップ撮影を見据えてスキンケアの保湿や目元のコンシーラーも極薄で仕上げ、カラコンを装着した瞬間、纏うオーラが一変して思わず鏡の前で見入ってしまったほどです。
ウィッグのカットとスタイリングはすべて自ら手掛け、インナーカラーの毛束を一本ずつ整えながら自然な光沢感を再現。頭頂部に配した2本の巨大な緑の角プロップはずっしりとした重量感があるものの、造形の再現度は抜群でした。黒のレザーハーネスと蛍光グリーンのインナーが強烈な視覚的コントラストを描き出し、首元の聴診器モチーフのチョーカーが無骨な中に医療ラボの近未来感を演出。マットレザーと光沢素材の組み合わせが、屋外の自然光の下で多彩なテクスチャーの違いを魅せてくれます。
ロケーションには工業廃墟風のスタジオを選定。剥き出しの鉄骨や遠くに見える古びた工場建屋がキャラクターの世界観と見事に合致しました。しかし実際の撮影は過酷そのもの。衣装やプロップの構造上、身体の可動域が大きく制限される上、風が吹くたびにウィッグの毛流れを整え直す作業に追われました。事前の緊張感も凄まじく、独特なメイクと攻めたスタイリングゆえに理想のクオリティに届くか不安でたまらず、カメラマンさんに「もし盛れてなかったら撮影料は口止め料として受け取って、データは永遠に封印してくださいね」と冗談交じりに話していたほどでした。
コスプレはキャラクターの選定から生地選び、造形、ウィッグセット、テストメイクに至るまで、すべての工程が膨大な熱量を要します。Mon3trはディテールが極めて緻密なため、工業感とハイテク感が交錯する世界観を表現するべく生地の選定だけでも吟味を重ねました。ブラックのマットレザーと光沢PVCは光の当たり方でまったく異なる表情を見せ、角の先端もストロボで白飛びしないようエッジを丁寧に研磨しました。
今回の薄めメイクにおいて最大の難関は、アイメイクの圧倒的な清潔感でした。眼差しに射抜くような鋭さを宿しながら、カメラの超接写に耐えうる完成度が求められます。濃いアイシャドウや派手なつけまつ毛に頼れない分、リキッドアイラインとマスカラの繊細なストロークで目幅を拡張し、一本一本ダマのないまつ毛と硬すぎない流麗なラインを描き起こしました。メイク直しも皮脂をティッシュで優しく押さえるのみに留め、ベースの透明感を損なわないようパウダーの重ね塗りは徹底して避けました。
午後いっぱい廃墟の中でベストアングルを模索し続け、鉄骨に反射する強い照り返しを避けるため、立ち位置やポージングの微調整を反復。ウィッグが美しい毛束のレイヤーを描いて風になびく瞬間を待つため、同じ姿勢を長時間キープし続ける場面もありました。過酷なセッションではありましたが、モニターに映し出された完成写真を目にした瞬間、心の重荷が一気に解け落ちました。メイクや造形に注いできたすべての苦悩が、シャッターが切られた刹那に確かな価値へと昇華されたと感じます。これからも多彩なスタイルに果敢に挑戦し、心に芽生えたインスピレーションを大切に形にしていきたいと思います。