今回の『崩壊 3rd』リタの浣渓沙をテーマにした撮影は、事前の準備から最終的な仕上がりに至るまで、細部のブラッシュアップを徹底的に重ねました。浣渓沙の世界観に寄り添うため、スタジオ内に木製の飾り格子や桜の木を配置した中国風のセットを組み、直径1メートルを超える特注の発光ムーンプロップを用意。衣装面では、立ち襟やチャイナボタンといった伝統要素を大切に残しつつ、大胆なスリットやショート丈のカッティングを取り入れた改良白旗袍(チャイナドレス)を採用し、モダンな洗練美をプラスしました。ボトムスにはマットな黒ストッキング(連覇タイツ)と白の厚底ヒールをコーディネート。ダークトーンの背景の中で鮮烈な白黒のコントラストを描くことで、脚のラインをすらりと際立たせ、力強い視覚的インパクトを生み出しています。テーマと美しく調和するよう、胸元や腰元には赤とゴールドの金属パーツを添え、腕には赤い薄絹とタッセルを巻きつけ、手元に深色の団扇を持つことで、単調さを感じさせない贅沢な色彩に仕上げました。
メイク面では目元に広めの赤系グラデーションをぼかし、ウィッグの繊細なレイヤーカットと相まって、リタならではの優雅でありながらどこか危険な気品を追求。ウィッグの生え際はレンズの前でフェイスラインへ自然に馴染むよう何度も微調整を施しました。スタジオの調光設計にもこだわり、メインライトを顔と衣装の正面から当てることで、生地に織り込まれた金糸の刺繍や地模様の上質なテクスチャを鮮やかに浮き上がらせました。背景の月明かりは光量を個別にコントロールし、被写体のサイド逆光と組み合わせることで、月下で夜桜を愛でるような極上の空気感を創出しています。
セット全体の重心が低めだったため、オフホワイトのフェイクファーラグを敷いた寝椅子(貴妃榻)に斜めにもたれかかる構図を選びました。一見すると気だるげで優雅なポーズですが、実際には体幹や脚の筋肉をしっかりとキープする必要がある難度の高い姿勢です。黒ストッキングと白ヒールが描く美しいレッグラインを完璧に魅せるため、脚を交差させる角度や爪先の反り具合を何度も試行錯誤。団扇を添える位置、視線の流し方、顎の引き加減に至るまで入念に意思疎通を図り、どのカットでも最も自然で魅力的な佇まいを切り取れるよう努めました。
スタジオの桜は造花ですが、枝ぶりの流れや密度の高低が構図の完成度を大きく左右するため、カメラの位置に合わせて枝の位置を何度も組み替え、顔を遮ることなく背景に適度な奥行きを生み出しました。体勢を維持し続ける撮影は体力を要しましたが、東洋の古典的な風情とキャラクター本来のオーラが見事に融合した写真を目にした瞬間、注いだ情熱のすべてが報われたと実感しました。この世界観への挑戦は、私にとっても非常にかけがえのない貴重な経験となりました。