このヴァイオレット・エヴァーガーデンの撮影は去年からずっと予定を引き延ばしてしまい、様々な事情で延期を繰り返した末、ようやく決まった今回の撮影も非常に慌ただしいものとなりました。ロケ地選びから本番まで準備期間は極めて限られていましたが、無事に作品として形にすることができて本当に良かったです。
衣装面では、この濃紺のレトロ制服ジャケットがとても重厚感のある作りになっています。金色の縁取りとメタルボタンが施され、胸元にはレザーベルト、襟元には白いフリルタイと中央に輝く緑のブローチがあしらわれています。作中のヘアスタイルを再現するため金髪ウィッグを着用し、後ろ髪を三つ編みにして鮮やかな赤いリボンで結び、肩口へ流しました。ボトムスは裾が何層にも重なるボリューム感のある白のロングプリーツスカートで、歩く際に裾を踏まないよう細心の注意が必要でした。足元はワインレッドのレースアップロングレザーブーツを合わせましたが、革が硬めだったため歩き慣れるまで少し時間がかかりました。手袋は手元にしっかりフィットするダークブラウンのショート丈レザーグローブで、小道具の扱いやすさも良好でした。
小道具には黒のヴィンテージトランクケースと、大量の白い封筒を用意しました。封筒には一つひとつ赤いシーリングワックス(封蝋)を施し、細部の質感までこだわっています。また、作品らしい幻想的な雰囲気を演出するため、後処理で空中を舞う手紙のエフェクトを加えました。
ロケ地には、湖、芝生、クラシックな建造物、噴水が揃った公園を選びました。当日は日差しが非常に強く、撮影にとってはまさに諸刃の剣でした。木漏れ日が白いスカートや木の幹に落ち、光と影の豊かなグラデーションが生まれるメリットがある一方、光が硬すぎるため、直射日光を避けるアングルを探したり遮蔽物で影を作ったりと苦心しました。光を追いかけるあまり、ポージングも急ぎ足になりがちでした。
ポーズは、ヴァイオレットの静かでどこか物憂げ、かつ芯の通った佇まいを意識しました。木の幹に腰掛けてレザーグローブの手を太陽にかざしたり、伏し目がちに髪を整えたり。封筒を手にする際は、手紙を読み解く瞬間やこれから届ける姿を思い描きながら自然な所作を心がけました。黒いトランクケースも良いアクセントとなり、傍らに置くだけでキャラクターの職業設定が引き立ち、構図に深みを与えてくれました。
全体として駆け足の撮影となり、時間切れで撮りきれなかった構図もありました。地面に座ると白いプリーツスカートにシワがつきやすく頻繁に直す必要があり、屋外の気温の中で重い制服とロングブーツを着続けるのは体力的に厳しかったです。ですが、写真を見返したとき、日差しの中で風になびく赤いリボンを目にして、それまでの疲れや慌ただしさも一気に吹き飛びました。
今回のレタッチは屋外ポートレート本来の自然な光と影を重視し、過度な色調補正は避けて透明感を大切に仕上げました。舞い散る手紙の配置も派手になりすぎないよう控えめにしています。去年から延び延びになっていましたが、ようやくこのキャラクターにしっかりと向き合い、形に残すことができました。