夜の大理洱海のほとりで、今回の鍵山雛 コスプレの撮影を行いました。この作品の大きなインスピレーション源となったのは、『東方Project』における流し雛の祈願の設定です。水流に乗って遠ざかる灯籠は、厄災や病を祓い、健康と幸福を祈る願いを運んでいきます。今回の撮影ではキャラクターのビジュアルを丁寧に再現し、巨大な赤いリボンには特注の生地を採用し、縁には上質な白レースをあしらいました。サイズが大きいため、風の中でもピンと張った美しい形を保てるよう、ヘアピンやワイヤーを駆使して固定に工夫を凝らしました。ウィッグには柔らかみのある淡いグリーンを選び、夜景の中で透明感が引き立つよう前髪の自然なカールを念入りに整えました。メイク面では青い瞳と艶やかなリップを強調し、物静かでどこか神秘的な佇まいを表現することを目指しました。ドレスの深紅のベルベット生地はライティングの下で上質な質感を放ち、スカートのサイドに手作業で施された緑の刺繍模様も設定に合わせて特注したこだわりポイントです。
夜の大理洱海のロケーションは夜景ポートレート撮影に非常に適していました。今回の撮影で特に難易度が高かったのは水辺の小道具との兼ね合いでした。赤いドレスの裾を持ち上げて水辺にしゃがんでは、つま先が冷たい水面に触れるギリギリの位置でバランスを保ち、ドレスが水に浸からないよう細心の注意を払いました。流し雛の祈願の情緒を醸し出すため、岸辺の小石や岩場の上に温かみのある黄色い四角い紙灯籠を並べ、水面にも花を模した灯籠をいくつか浮かべました。カメラマンさんはこれらの光源に補助光を組み合わせることで、冷涼な夜空の青と温かな灯火の黄色による鮮烈な明暗・色温度のコントラストを生み出し、写真全体に豊かな立体感を与えてくれました。撮影中は手を合わせて祈る姿、体をひねって水面を振り返るポーズ、水辺でドレスを持ち上げる仕草など様々な所作を試し、キャラクターの持つ穏やかでどこか物憂げな気品を余すところなく再現しようと努めました。この衣装は装飾品が多くフル装備するとずっしりとした重みがあり、夜の水辺は冷え込みも厳しかったため、風が吹くたびにリボンの角度やスカートの広がりを整えつつ、1カット撮るごとに急いで上着を羽織るような過酷さでした。それでも、灯火と水面の影がキャラクターと完璧に溶け合った光景を目にした瞬間、大きな達成感に包まれました。