今回はモデルさんからレトロメイクによる自然な仕上がりのリクエストをいただき、メイクアップアーティストとしての引き算の美学が試される現場となりました。まずベースメイクでは過度なカバーを避け、素肌本来の透明感やキメを残すよう薄く均一に仕上げました。厚塗りにしてしまうとキャラクター特有の儚く澄んだ空気感が損なわれてしまうからです。アイメイクが最大のポイントで、大粒のラメや太いブラックのアイラインを重ねるのではなく、ごく淡いグレーブラウンをアイホールにふんわりとのせ、アイラインは目尻に沿ってわずかに引く程度にとどめ、視線の焦点を赤い瞳に集めました。リップには本来の唇の色に近いナチュラルカラーを選び、まるでノーメイクのように見せながらほんのりとした血色感を添えることで、キャラクターの眼差しの純粋さを際立たせました。
白いバレエチュールスカートに青いチョーカー、そしてトゥシューズのレースアップリボンを合わせたバレエコアコーデは、極めてクリーンで冷涼、そしてどこか儚げな美しさを醸し出しています。撮影時はリボンを引く仕草や膝を抱えるポーズなど、ダンスの優美なリズムを感じさせる伸びやかなポージングを試してもらいました。スタジオのライティングと調和することで、脚のラインやチュールスカートの軽やかさが美しく引き立ち、『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターが持つ浮世離れした孤独感を見事に表現しました。昨今流行している隙のない完璧なマスク風メイクを無理に追う必要はなく、生肌感や透け感のあるテクスチャこそが、この自然な雰囲気のコスプレにおいてキャラクターの神髄を捉える鍵となります。スタイリングから撮影に至るまで細部へのこだわりが実を結び、全体の空気感も見事に表現できた綾波レイコスプレとなりました。