本日のロケーション撮影は、この痛車との合わせ撮影をメインに企画しました。撮影のプロセス全体は想像以上に挑戦の連続でした。『無職転生』ロキシーの衣装や小道具はこれまでにも何度か出してきたお気に入りですが、今回はこのフルラッピング痛車との調和を考え、ヘアメイクと光のバランスに新たなアプローチを試みました。
車のラッピングステッカーは非常に大面積で色彩の彩度も高く、ブルーとブラックが基調となっていました。被写体が背景の強い色味に埋もれてしまわないよう、視界が開けた高層の立体駐車場をロケ地に選定。空は程よい曇り空で、光が柔らかく拡散するディフューズ光に包まれており、顔周りに硬い影を作らずアニメ的な質感を表現するには最高のコンディションでした。長柄の杖を手に、所作が不自然に固まらないよう意識。1枚目と2枚目のカットでは全身の立ち姿を捉え、杖を真っ直ぐ身前に構えることで、マントの優美な落ち感が全体のシルエットを美しく引き締めてくれました。3枚目では車のイラストに寄り添うように中腰でしゃがみ、指先を唇に添えてレンズを真っ直ぐ見据えるポーズを採用。車体の二次元イラストと美しく共鳴させつつ、カメラとの距離を縮めて衣装の細やかなディテールを際立たせました。
衣装の仕立てにも入念に気を配りました。青と白のコントラストが美しい切り替えトップスにブラウンのロングマントを羽織り、腰元のメタルチェーンが自然光を反射して繊細なきらめきを放ちます。ボトムスには黒のショートパンツと白のニーハイロングブーツを合わせ、脚のラインをすらりと長く見せるバランスを追求しました。駐車場の平坦なコンクリートの上を移動しながらポーズを決めるのは、硬いロングブーツの履き心地もあって相応に体力を要しましたが、脚のラインが最も美しく流れる角度を丁寧に探求し続けました。杖も見た目以上に重量があり、長時間構え続けると腕がじんわりと疲れてくるため、テイクの合間には小まめに下ろして手首をほぐしました。
今回の撮影で最も気を遣ったのは、実は人物よりも車そのものの扱いでした。純白の車体にこれほど大がかりなステッカーが施されているため、ボディの塗装を傷つけないよう細心の注意を払い、同時に車体表面の映り込みのコントロールに徹しました。強い反射光による白飛びやカメラマンの映り込みを防ぐため多彩なアングルを検証し、最終的に駐車場の屋根の梁で画面上部をフレーミングして、背後の高層ビル群や建物の構造線を背景に活かすことで、極めてクリーンで洗練された構図を完成させました。痛車とコスプレの融合は想像以上に刺激的で、車体のグラフィックと生身のキャラクターが見事な次元を超えた対話を紡ぎ出してくれました。ポージングの負担は大きかったものの、仕上がった写真の圧倒的な説得力を前に、全ての苦労が報われたと実感しています。
メイク直しの際、青髪が車体のステッカーと同化してしまわないよう、シェーディングとハイライトを普段よりシャープに効かせ、曇天下でも顔立ちの立体感が鮮明に際立つよう調整しました。ウィッグのスタイリングも肝心で、猫耳風の髪飾りは頭頂部のやや後方に固定することで、どの角度から見ても均整の取れたシルエットを保ちました。撮影中も風でマントの裾が乱れないよう絶えず手入れを欠かさず、杖を支えに頬杖をつくポーズでは滑りやすい床の上で体幹を利かせ、片脚を曲げた姿勢を崩さないようバランスを保ち続けました。3時間余りに及ぶ撮影の中で、モニター越しに理想のビジュアルが少しずつ形になっていく高揚感は何物にも代えがたい喜びでした。作品への敬意と情熱を詰め込んだこのロケーション撮影の記録が、皆さんに心地よい新鮮なときめきをお届けできれば幸いです。