ホタルACGエキスポの会場外で人混みが落ち着いた背景を探し、三脚を立てて撮影したのが今回の写真です。身に纏ったのはセルフコーディネートによる黒のワンピース。襟元には大きな深紅のリボンタイを結び、頭上には白レースのカチューシャを飾り、ボトムスには黒のプリーツスカートとふんわり広がる白パニエ、足元には黒のニーハイストッキングを合わせました。
手元の楽器を目にした多くの方から、真っ先に「ギターですか?」と尋ねられます。ですがこれは正真正銘の4弦エレキベース。サンバーストカラーのボディに鼈甲柄のピックガードが映え、金属製のブリッジやノブが屋外の天然光を浴びて上質な輝きを放ってくれました。普段から趣味でバンドを組んでいる身として、ベースという楽器には人一倍深い愛着があります。ステージ上で最も派手に脚光を浴びるパートではないかもしれませんが、リズムとメロディを繋ぐ揺るぎない礎となる存在です。「一人バンド」とは、言わば自分自身を純粋に楽しませる究極の自己表現。この重たい相棒を背負って会場内を丸一日歩き回り、肩にはずっしりとした疲労が残りましたが、構えてポーズを取った瞬間、ベーシストとしての身体の記憶が一気に蘇ってきました。
キャプションに綴った「生活にはロックが必要」という言葉には、私自身深く共鳴しています。私たちが体現する新たなロックとは、単なる音楽のジャンルにとどまらず、着こなしの美学や写真の表現スタイルそのものにも宿るものです。会場内は熱気と喧騒に満ち、どこを見渡しても人で溢れていましたが、ふと視線を落としてベースの弦を見つめた瞬間、世界が静寂に包まれたかのように感じられました。その心地よい孤独感は、決して寂しさではなく、狂騒のただ中で本来の自分を取り戻す澄み切った静けさでした。音楽がもたらす純粋な歓喜に包まれ、楽器を爪弾く時間に没頭していると、周囲の雑音はすべて心地よい背景へと溶けていきます。
スタイリングに関して言えば、黒のパフスリーブワンピースは身体のラインをすっきりと美しく引き締め、胸元の赤いリボンが鮮烈なアクセントとして全体を昇華させてくれます。ボトムスにニーハイストッキングを合わせることで脚長効果を際立たせ、ダークな黒いメイド服の愛らしさと、ロックが宿す反逆のニュアンスを巧みに融合させました。気温30度を超える炎天下で長袖とニーハイを纏い、ウィッグの中に汗を滲ませながらの撮影は過酷そのものでしたが、理想の視覚表現を追い求めるコスプレだからこそ、その苦労も喜んで受け入れられます。
撮影を終えた後はベースを背負って館内を散策し、同じように楽器を持参したバンド仲間と出会って、機材の重量感や演奏性について語り合いました。同じ熱量を持つ仲間と巡り合い、共鳴し合える時間は何物にも代えがたいものです。このベースは私にとってのミューズであり、二次元のカルチャーが満ちるイベント会場の中で、自分だけの表現の在り方を教えてくれました。完璧さに固執するのではなく、この瞬間を心から楽しむこと。これからも相棒のベースを連れて数々のイベントへ足を運び、かけがえのない瞬間を刻んでいきたいと思います。本日撮ったカットの中でも、静かに視線を伏せた1枚が特にお気に入りです。派手な動きはなくとも、心の奥にある情緒がまっすぐに息づいています。