今回の『薬屋のひとりごと』猫猫のコスプレ写真の撮影では、衣装、メイク、小道具、そして撮影のディテールに至るまで多くの情熱を注ぎ込みました。この衣装の配色はひと目で心を奪われたほどお気に入りで、上着には地模様の織り込まれたピンクの対襟(平襟)ワイドスリーブ羽織を纏い、インナーには淡いグリーンの交領(打ち合わせ)を重ねて襟元から白い花柄を覗かせる仕立てになっています。ボトムスには贅沢な布量を持つ深紫紅色のロングスカートを合わせ、歩くたびに重厚で美しいドレープを描きます。腰紐は結び留めたサイドに目を引く大ぶりの赤い布花を配置。ウィッグは深緑色を選定し、猫猫ならではの特徴的なシルエットを再現するため、頭頂部の両サイドに毛たぼを仕込んで愛らしいお団子(角髪風)を立ち上げ、下ろした毛束を三つ編みにして毛先をピンクと緑のゴムで結び、金色の簪(かんざし)と揺れる耳飾りを添えました。メイクではアイラインを少し長めに引いて目元の輪郭を際立たせ、深みのある黒目がちな瞳と合わせて思慮深く聡明な眼差しを演出しました。小道具には団扇と糸綴じ本を用意。白地の団扇には精緻な刺繍と房飾りのタッセルをあしらい、糸綴じ本は自ら青い表紙に題箋を貼り付けて仕立て、手に持った際に確かな古典の風情が宿るよう工夫しました。
ロケーションには伝統的な古典庭園を選定。重厚な黒塗りの木柱や波型透かし彫りの木製欄干、赤褐色の敷瓦が広がる空間です。当日は快晴に恵まれ、サテン調のシルク生地に自然光が降り注ぐことで、織り込まれた地模様が繊細な光沢を放ちました。撮影中、カメラマンさんのリードで多彩なポージングに挑戦。石橋の上に立ち、青い書物を頭上に掲げて両腕を大きく広げる所作では、ピンクの大きな袖と紫紅色の裾が風を孕んでふわりと舞い上がり、衣装の美しい重なりと流麗な浮遊感を捉えることができました。また回廊の石段に腰掛け、スカートの裾をわずかに持ち上げて脚を交差させ、白のレースアップヒールを覗かせながら団扇を手にしたり本で顔の半分を隠してレンズを見つめたりする仕草も試みました。欄干に寄り添って頬杖をつくポーズや、本を胸元に抱きしめるカットなど、回廊の奥行きを活かして正面や斜めの角度から多彩に切り取りました。
幾重にも重なる生地は確かな重量感があり、屋外で動き回ると汗ばむほどでしたが、ウィッグの三つ編みが崩れないようピンでこまめに手入れを重ねました。サイド光や半逆光を取り入れることで、顔立ちの陰影や生地の上質なテクスチャが驚くほど鮮明に際立ちます。現像前のモニターを確認した際、ピンクとグリーンの衣装が庭園の青葉と見事に調和し、光と影の中で布地の繊細な質感が美しく息づいているのを目にして、すべての苦労が報われたと実感しました。石段で本から瞳を覗かせるカットと、橋の上で腕を広げたカットは、猫猫らしい生き生きとした魅力が溢れる特にお気に入りの一枚です。