「界園」テーマのこの写真セットのレタッチ・色調補正作業は、これまでの作業量と比べても、私にとって確かな一歩前進となる挑戦でした。撮影前は文字通りとても不安で、主にニェンとシーの髪色と肌色が画面全体のトーンに強い影響を与えやすく、少しでも油断すると画面全体のバランスが崩れてしまうからでした。今回の色調補正では、誰もが抱く「和やかで穏やか」あるいは清淡な中華風コスプレという定番の印象を捨て、高彩度の蛍光グリーンとマゼンタにグリッチ(ノイズ)のズレ感をあえて組み合わせ、中華ホラーとサイバーパンクが交錯する世界観へと一気に引き上げました。
撮影当日は、肝心の装備をスタジオに忘れてきてしまうという大きなトラブルが発生しました。現場では本当にへこみました。画面の構図の再現度が半減してしまうことを意味していたからです。仕方なく腹をくくって撮影を進め、後からレタッチの切り抜きや画像編集で補えるか試すしかありませんでした。これが理由で「完成までにかなり時間がかかって(放置して)」しまったのですが、レタッチだけに頼る補正はコツコツと削り出して微調整する膨大な時間、いわゆる「地道な手作業」が必要だったからです。幸いにも最終的な仕上がりは自分なりに納得のいくものとなり、この破壊感を帯びたディープなビジュアルは本当に自分の美意識に刺さりました。
画面の中で私が持っている紙傘や、パートナーが手にする大きな折りたたみ扇子は、元のデザインではもっとあっさりとした伝統的なスタイルのものですが、私たちの特殊なトーンで再構築され、背後にある月洞門のような円形フレームと組み合わさることで、思いがけず怪しくも調和のとれた雰囲気を生み出しました。元々は少々重苦しかったレンガ壁の背景が、グリッチピクセルの剥離を加えることで、「歳」のきょうだいが界園という環境で見せる特有の不気味で神秘的な存在感を増すとは、本当に予想外でした。
今回の撮影では、1つの画角の中で2人のキャラクターの重心や視線のバランスを整え、特に2人のポーズを円形フレームの中に完璧にはめ込む必要があったため、パートナーとの現場での連携が試されました。撮影当日の天候やライティングは決して理想的ではありませんでしたが、こうした環境の不完全さがあったからこそ、レタッチ作業でより大胆な試みに挑戦することができました。混濁と分断を孕んだこのようなトーンが特に気に入っており、中華風コスプレの外観要素を残しつつも、まるで信号ジャマー越しに覗き込む絵巻物のような仕上がりになりました。
完成写真が出来上がり、普段使い慣れた印象色とは一味違う画面を目にした時、強い達成感が湧き上がってきました。過程は紆余曲折ありましたが、新たなスタイルに挑戦するたびに、異なる色調補正の引き出しを増やすことができます。心を込めた作品とは単なるキャラクターの再現にとどまらず、その環境が纏う空気感を徹底的に咀嚼し尽くすことなのです。これこそが、私たちがスタジオで複雑なセットと格闘し続ける理由であり、常識を再定義し打破していくプロセスそのものを楽しんでいる証なのだと思います。