今回の『鳴潮』ショアキーパーのイベント写真は、同人イベント会場のすぐ外で見つけた浅瀬スペースで撮影したものです。キャラクターが持つ「水」「静寂」「青」という視覚的象徴を表現するのに、水辺に咲く小さな白い花々や落ち葉、水面の光の反射が、構図に必要な奥行きを完璧に演出してくれました。撮影とレタッチは信頼するカメラマンさんが担当し、私はメイク造形と被写体としての身体表現に専念しました。
衣装の構成について。トップスはフリルと金属チョーカーがあしらわれたショート丈のクロップド仕様で、ボトムスには白のスリット入りミニスカートを合わせ、その上に透け感のある青いシフォンスカートを重ねて、腰元に細長い青いリボンを結んでいます。室内の試着では問題ありませんでしたが、屋外に出ると軽やかな薄手生地が風で煽られやすいため、移動時の露出を防ぎつつ優美なたなびきを保てるよう、インナーや裏地をピンで留める工夫を施しました。足元は白のレースアップヒールサンダルを選びましたが、水中でバランスを取るのはかなりの難関でした。
ウィッグはアイスブルーのストレートロングにフードを被る構造上、頭頂部が平たく潰れやすいのが課題でした。前夜から入念にセットを行い、根元をしっかりふかして毛並みを整え、もみあげと前髪に柔らかなカールを加えました。寒色系のキャラクター性を引き出すため、アイメイクにはブルーとシルバーのアイシャドウを重ね、グレーブルーのカラコンを合わせて、設定通りの凛とした清涼感を追求。手にした青い蝶の小道具もこだわり抜いて選んだもので、発光エフェクトと相まって画面の美しいアイキャッチとなってくれました。
当日のイベント屋外エリアは気温が高かったものの、陽が沈むと水面の煌めく自然光が失われてしまうため、午後3時から5時までのゴールデンタイムを狙って時間との勝負に挑みました。水深は浅いものの川底に苔が生えており、ヒールが滑りやすく一歩ごとに慎重に重心を探る必要がありました。カメラマンさんはローアングルや見下ろし構図を駆使し、多彩なアングルを模索。水中で宙に浮いているかのような浮遊感を出すため、片足立ちで前傾姿勢を取り、リボンの流れに合わせて腕をしなやかに伸ばしました。軽やかに見えるポーズも実際は体幹の筋力をフル稼働させており、何十テイクも重ねるうちに全身が震えるほどでした。
衣装のドレープを最も美しく見せるため、画面外のスタッフさんに薄手の青い布をふわりと放り上げてもらいました。レタッチでは青い発光の空気感を重点的に引き立たせ、水面の波紋のテクスチャや玉ボケを繊細に整えることで、夢幻的で深遠なブルーの世界観を完成させました。限られた環境下で通行人の映り込みに配慮しながらも、緻密な構図設計と光のコントロールによって納得のいく仕上がりとなりました。コスプレとは単に衣装を着ることにとどまらず、身体の所作を通じてキャラクター固有の覇気や気品を伝えることなのだと改めて実感した撮影です。水辺での撮影は転倒防止が何より大切ですので、これから挑戦される方は滑り止めのシューズを用意するか、足場が安全な場所で素足で臨むことをおすすめします。