今回のシの撮影は、準備段階から作品の完成に至るまで細部のクオリティを徹底的に追求しました。まずは頭部の造形からですが、枝状の龍角に自然光の下で美しい透明感を宿すため、芯材と表面塗装の検証を何度も重ねました。エルフ耳と併せて無数のヘアピンで固定して装着したものの、重心のバランスを保つのは至難の業でした。衣装の青白の切り替え部分には微細なラメを含んだ上質生地を採用し、黒地に白チェックのアームカバーや金属バックルと相まって、光の当たり方によって全く異なる豊かな表情を見せてくれます。ロケ地には紅葉が彩る回廊を選定し、午後3時から4時頃にかけて木々の間から差し込む柔らかな斜光を待つため、吹き抜ける風の中で長時間スタンバイしました。突風が吹くたびにウィッグやスカートが激しく乱れて顔を覆い、テイクの破棄率が跳ね上がる過酷な撮影となりました。黄金色に輝く長い尻尾のプロップは現場で最も重量があり、手元でさりげなく重さを逃しながらカメラの前で優美なしなりをキープ。脚をしなやかに交差させるポージングも何度も微調整を重ね、プリントタイツ(ストッキング)の美しいレッグラインを余すところなく引き出しました。現像レタッチにおいてはカラーグレーディングに注力し、背景の紅葉を温もりのあるゴールデンイエローに統一して衣装のクールトーンと対比させ、玉ボケのハイライトを引き上げて画面の階層美を深めました。素肌と衣装のハイライトもパーツごとに個別処理を施し、過度な肌補正を排して素肌本来のきめ細かなテクスチャを活かした納得の仕上がりとなりました。