ドロシーの水着スタイルの撮影プロセスは、想像以上に挑戦の連続でした。この広範囲にわたる白い透明なシアー素材の水着は、見た目こそ軽やかでひらひらとしていますが、実際の撮影では手入れにかなり気を配る必要があります。特に複雑なフリルの襟元や背中の薄纱(チュール)ケープは、水に入ると水分を吸って重くなりやすく、また肌に張り付いて本来のふんわりとしたボリューム感を失ってしまいがちです。そのため、1つのアングルを撮り終えるたびに衣装を素早く整え、ひだやレイヤー感が常にキープできるようにしました。
ロケーションはTusca撮影スタジオを選びました。ここの環境の色調は非常にクリーンで、純白の建物の壁に鮮やかなブルーのプリーツ水面が、鮮やかなピンクのウィッグや白い水着と見事な色彩のコントラスト、呼応、そしてコンビネーションを成しています。光の使い方がこの写真セットの核となっており、たっぷりの日差しが全体に日系特有の透明感ある空気感を演出してくれます。逆光やサイド光が半透明のシアー素材の質感を綺麗に浮き上がらせ、内側の肌のベースをほんのり透かすことで、まるで水気が立ち込めているかのような爽快さを醸し出します。
今回は画面を豊かにするためにいくつかのインフレータブル(充気)小道具を取り入れました。ピンクの透明な浮き具やハート型の浮き輪は、淡いブルーの水中で非常に存在感があり、画面に遊び心をプラスしてくれるだけでなく、両手が手持ち無沙汰にならずにより自然なポーズを決めるのにも一役買ってくれました。小道具があるおかげで手の置き場所に困らず、縁を掴んだりサイドに寄りかかったりすることで、身体のラインをよりリラックスした状態に見せることができます。ただし、充気小道具は水中で固定しにくいため、アシスタントさんに傍らで重心を支えてもらいながら、完璧なポーズの瞬間を切り取りました。
表情や視線のコントロールにおいては、キュートさの中にどこか清涼感を含ませたレイヤーを意識し、キャラクター本来の雰囲気の設定に寄り添いつつ、夏のレジャーらしいリラックス感を程よく取り入れました。白い水着自体が軽やかなものなので、表情が硬すぎると生硬に見えてしまいます。そのため、眩しい日差しの中でもできる限り微笑みを保つか、あるいは視線をまっすぐ前に向け、気だるげでありながらもいつでもキャラクターの世界観に没入できるような佇まいを表現しました。
水中での撮影は体力的にも、またレンズに対する鋭い感覚の面でも非常にシビアです。水面の波紋や反射が絶えず変化するため、シャッターを切る直前に毎回構図が安定しているかを再確認しなければなりません。足元に結んだ淡い色のリボン紐も実はちょっとした見どころですが、部分的にしか見えないからこそ、座りポーズを調整する際に脚の伸びやかな延長線を意識し、ラインが極力なめらかに繋がるように配慮しました。
通常のスタジオ内での撮影とは異なり、屋外プールでのレフ板の使い方や角度の設定は非常にシビアで、一歩間違えると水面が白飛びしたり顔に重い影が落ちたりしてしまいます。幸いにも、現場の光は全体的に透明感があり、ハイキーなライティング処理の手法を組み合わせることで、最終的な仕上がりは期待通りの瑞々しいクリア感に到達しました。総じて、この写真セットの空気感は私が非常に大好きな透明感あふれるスタイルであり、プールサイドで過ごした撮影時間は忙しかったものの、事前の的確な準備と現場チームの連携のおかげでスムーズに進めることができました。過度なレタッチ(後期加工)に頼る必要はなく、事前に光影とポートレートのコントロールをしっかりと行うことで、この二次元の夏ならではの自然な底色を最大限に残すことができました。