今回は『天涯明月刀オンライン』に登場する天香門派の装束「沐風為裳」をお届けします。天涯明月刀オンライン 10周年という記念すべき節目に合わせ、今回は主にダンス動画の撮影に全力を注いだため、スチール写真の枚数は控えめですが、合間に捉えた貴重なオフショットを公開します。
この「沐風為裳」を選んだ最大の理由は、驚鴻舞(けいこうまい)の優美な舞姿を表現するのに最も適していたからです。衣装全体は白、ピンク、淡い水色を基調とし、透け感のある白いオーガンジーの羽織が舞踊の動きに合わせて見事な広がりを魅せてくれます。手首のオレンジと白のボーダーリストバンドやレースのフリルが愛らしいアクセントを添え、腰元の水色とピンクの花結び飾りが全体のスタイリングを華やかに引き締めています。舞踊の演出に合わせて手元には常にピンクの油紙の傘を携行。この傘は演舞において重要な表現ツールであると同時に動きを制約する要素でもあり、綺麗に回転させるには手首の繊細なコントロールが求められ、傘の柄に揺れる赤紫のタッセルが空中に弧を描く躍動美は、静止画では伝えきれないほどの魅力に満ちています。
撮影ロケーションには朱塗りの木橋と伝統建築が佇む中国庭園を選びました。この古典的な佇まいは天香の世界観に驚くほど自然に溶け込んでくれます。赤い橋の上で片足を後ろへ高く蹴り上げるポーズは、体幹の安定感とバランスがシビアに試されました。フラットシューズを履き、外衣の裾の重みを受け止めながら、伸びやかで優雅な姿勢を保つためにカメラマンさんと何度も画角のすり合わせを重ねました。カメラマンの綾瀬若葉さんは動的な一瞬を切り取る腕前が卓越しており、傘の角度や後処理で合成する光る蝶のエフェクト用の余白を計算し、ライティングと構図を綿密に調整してくださいました。画面に舞い散るピンクに輝く蝶は、ゲーム内の天香門派が持つしなやかで幻想的な気品を表現するための演出です。
今回の撮影は、心地よい疲労と達成感が同居する素晴らしい時間でした。この衣装を纏って庭園を歩き回ると、薄絹の裾や飾りが小枝や築山に引っかかりやすく注意が必要でしたが、ひとたび役に没入し、所作に合わせて傘を傾ければ、周囲の伝統建築と共鳴して天香ならではの風情が自然と立ち現れました。「天下一の絶景と讃えられ、人間界に咲く第一の芳香」という詩句に込められた誇りこそが、この10周年の創作を通じて伝えたかった門派への熱い想いそのものです。
ダンスの収録を最優先に進めたため、写真のストックは限られていますが、ダンス本編の動画は現在鋭意編集・後処理の真っ最中です。驚鴻舞への私なりの解釈を散りばめ、傘の扱いと足運びを緻密に組み上げた振り付けとなっています。静止画以上に動画の中で圧倒的な躍動美を放つ衣装ですので、完成した際にはぜひフルバージョンの演舞を楽しんでいただければ幸いです。