白ホリスタジオで敢行した玉藻の前の体操服撮影は、当初は本格的なアスリート風のコンセプトを掲げていました。コートの上で汗を流すスポーツ少女ならではの力強い躍動感を切り取ろうと意気込み、青・黄・白のバレーボール、白地に赤ラインの上履き、頭上のモフモフの狐耳と背後の巨大な尻尾、そして象徴的な黄金の呼符の小道具まで完璧に用意。しかし、いざ白ホリに入ってストロボを焚いた瞬間から、現場の空気感は予想もしなかった方向へと転がり始めました。
白ホリ撮影の難しさは光が濁りなく回る点にあり、少しでも陰影の計算を誤ると画面全体が平坦になり、被写体の立体感が失われてしまいます。そのためライティングには入念な工夫を凝らし、メインライトにソフトボックスを装着しつつ、サイドバックからの逆光で髪の毛先や尻尾の毛並みの質感を繊細に縁取り、ピンクのウィッグが純白の背景から鮮やかに浮き立つよう設計しました。衣装面では、胸元に赤いエンブレムとロゴがプリントされた白地に赤トリムの半袖Tシャツに、黒のタイトなスポーツショートパンツをコーディネート。視覚的な奥行きと程よい大人の色香を添えるため、足元には黒のニーハイストッキングを合わせました。スポーティーな装いにおいて黒のロングソックスは脚のラインをすらりと美しく引き締め、白い背景と黒いパンツの対比の中で視線を自然と流麗なレッグラインへと引き寄せてくれます。
最初のうちは立ち姿でトスを上げるポーズを取り、体育委員のような凛とした構えをキープ。両手を広げ、真剣な眼差しで宙に浮かぶボールを見つめるカットを連写していました。しかし撮影が進むにつれ、張り詰めた空気は心地よい脱力感へとシフト。カメラマンさんはアタックを放つ瞬間のダイナミックな爆発力を狙っていたのですが、私がボールを手にした途端に身体の力がふっと抜け、自由気ままなリラックスモードへ突入。座りポーズでは脚を自然に重ねて膝の上にボールを乗せ、指先をそっと添える姿勢を取ると、カメラマンさんから「ストッキングの密着感と脚のラインが一番綺麗に出るアングルだ」と絶賛され、そこからはすっかり正統派スポーツの枠を飛び越えた撮影となりました。
後半はさらに自由度が増し、白い円形ステージにうつ伏せになって片手で身体を支えながらボールに手を伸ばしたり、振り返ってカメラへピースサインを向けたりとリラックス全開。途中には金色の呼符を取り出して手元でひらひらと揺らし、体操服と呼符という絶妙なシュールさを楽しむ場面も。カメラマンさんもシャッターを切りながら「体育会系を撮るはずが、チアガールの休憩時間になっちゃったね」と大笑い。この衣装に黒のニーハイソックスを合わせるだけで、どんな何気ない仕草でも足元のラインが絵になってしまうのだから仕方ありません。最後には上履きすら脱ぎ捨て、黒ストッキングのままスタジオ内を歩き回る始末で、ガチガチにスポーツ感を気取るよりもずっと自然体で心地よい時間を過ごせました。
とはいえ、撮影そのものは見た目ほど楽なものではありませんでした。ボールが宙に静止した瞬間を捉えるためトスと連写のタイミングを何度も合わせ、完成した写真に多い寝そべりや座りの気怠げなポーズも、体幹を保ちつつ服や髪のシワを自然に見せる必要があり、見た目以上に体力を消耗しました。また、尻尾が不自然に浮いてしまわないよう角度を細かく調整し、ボリューミーな狐尾の存在感を魅せつつ身体の美しい曲線を邪魔しない絶妙なバランスを追求しました。
今回の白ホリ撮影はとても新鮮で特別な体験となりました。当初思い描いていた熱血な体育の授業からは外れ、気怠い色香漂うスタジオ記録となりましたが、仕上がった写真は台本通りに進めるよりも遥かに生き生きとした輝きを放っています。現場の飾らないリアルな息遣いが宿り、ふと肩の力が抜けた瞬間こそが、最も愛おしく自然な一枚を生み出してくれたと感じています。