『ゼンレスゾーンゼロ』アリア「不協和音」のコスプレ撮影に向けて、インダストリアルなステージセットの構築に丸々2週間を費やしました。ウィッグのカットから衣装の細部に至るまで、元気いっぱいでちょっぴり反骨心のあるアイドルらしさを徹底して追求。衣装の中で最も難所だったのは黒のエナメル合皮部分で、強いスタジオ照明を浴びると不自然なテカリが出やすいため、撮影時はふんだんに逆光を活用しました。ソニーα7M5の豊かなラティチュードと50mm F1.4 GMレンズの描写力に助けられ、繊細な毛先と背景のネオンの光輪が極めて滑らかなグラデーションを描いてくれました。
ロケ地には廃工場風の実景スタジオを選定。オリーブグリーンの木箱や錆びついたドラム缶が積み重なり、無骨で退廃的な空気感を醸し出しています。この荒々しい背景だからこそ、身に纏った赤いスカートと鮮烈なピンク髪の鮮烈なコントラストが際立ちました。メイクはアイシャドウとまつげを強調し、澄んだブルーのカラコンで眼差しに確かな焦点を宿らせました。頭元のハート型小悪魔角とヘッドホンはこの造型の魂であり、ハートパーツの発光感が暗がりの中でサイバーパンクな存在感を放つよう、小型ライトで繊細な補助光を当てながら撮影しました。
ポージングにおいては、ステージアイドルの圧倒的な表現力を強く意識。木箱に腰掛けてヘッドホンを直す仕草や、マイクを握りしめて目を閉じ音楽に浸る表情など、躍動感あふれる一瞬を捉えました。厚底ソールとサイハイブーツは見た目以上に重量があり、ドラム缶の縁に足をかけてバランスを保つのは体幹の勝負でしたが、そのぶん脚の筋肉の引き締まったラインが美しく引き出されました。今回着用した柄入りストッキング(柄タイツ)にもこだわり、繊細なスカルプリントが照明で白飛びしないよう、カメラマンさんがサイドライトを巧みに操ってストッキングの編み目を鮮明に浮かび上がらせてくれました。とりわけ太ももとロングブーツの境目に覗く素肌とレザーの対比は抜群の視覚効果を生み出しています。
スポットライトが点灯した瞬間から全身全霊の元気を放つことこそが彼女の真髄であり、レンズの前では終始そのハイテンションを維持し続けました。強烈な光を見つめすぎて目が涙ぐむ瞬間もありましたが、モニターに映し出されたステージ特有の緊迫感を目にすると、疲労感など一瞬で吹き飛びました。記念すべき第1弾の写真集ということで、甘いアイドル像を打ち破るべく冷たいトーンの青紫の環境光も多数試み、サイバーパンク特有の無機質な重厚感をプラス。シャッターを切るたび奇跡の一瞬を賭けるような緊張感でしたが、仕上がりは極めて重厚な完成度に結実しました。現像でも衣装本来の高彩度を尊重し、インダストリアルな無骨さと二次元アイドルの洗練された造形美が見事に調和した二次元撮影作品となりました。