今回撮影したのは、ゲーム『鳴潮』に登場する薬指のコスプレです。ロケ地には、美しい芝生、落ち葉、空間の奥行きを引き出す石段が広がる自然豊かな公園を選び、アウトドア撮影を敢行しました。どこか清らかでミステリアスな、仙気漂う美しさを引き出すため、午後の逆光の時間帯を狙って撮影を行いました。木々の隙間から芝生へと斜めに差し込む太陽光が、自然光ならではの非常に柔らかな質感を作り出してくれます。
コーディネートは、深みのあるダークグリーンの改良チャイナドレスを主役に据え、独自の国風二次元の魅力を表現しました。このシックな色合いが画面全体のトーンを落ち着かせ、上から羽織った白いパフスリーブ(ランタンスリーブ)のボレロや胸元の黒いリボンタイ与えられることで、ビビッドな大色塊(カラーブロック)のコントラストが野外の緑に最高に映えます。頭に結んだ2つの白いリボンが、ボレロの白と上下で美しく連動し、スタイリング全体をまとめてくれています。
メイクにおいては、過度な色重ねは避け、繊細に引いたアイラインで切れ長な目元を強調しました。リップには、肌の透明感をさらに引き立てつつ、小道具の木刀にあしらわれた赤いタッセル(流蘇)と美しくリンクする、ほんのり赤茶がかったテラコッタ(オレンジレッド)を選びました。野外での撮影では、ベースメイクをしっかりとしたマット(艶消し)な質感に仕上げることが極めて重要です。そうしないと、強い太陽光を浴びた際に顔がテカってしまい、不自然に写ってしまうからです。
今回のために用意した小道具は3つ。赤いフリンジ付きの木刀、赤と白を交互に配した数珠のようなブレスレット、そして2枚の黄色いお札(符咒)です。これらのアイテムを組み合わせることで、シンプルな古風な装いの中に、東洋ファンタジーならではの神秘的な世界観をプラスすることができました。
撮影中、彼女が持つ軽快でどこか誇り高いキャラクター性を表現するため、ポージングは極力シャープで凛とした動きを意識しました。例えば、剣を構える際は手首をわずかに内側にひねることで、刃先と腕が最も美しく見える角度を作り出し、符を前方に突き出す際は、腕をカメラのレンズに向かって真っ直ぐ伸ばすことで、広角レンズのパース(透視)を活かした没入感のあるカットを狙いました。また、芝生の上からアオリ(ローアングル)で捉えたカットでは、脚長効果を狙いつつ、白いニーソックスと深緑のスカートの裾との美しいレイヤードがはっきりと表現できました。
さらに、いくつかのカットでは現場に造霧機(スモークマシン)を導入しました。特に地面に腰掛けたポーズでは、白い霧が私の足首や芝生の表面を優しく這うように漂い、逆光と合わさることで幻想的なレイヤード(明暗の階調)を描き出してくれました。池のほとりで撮影したカットでは、水面の美しい反射と周囲を包み込む白い煙霧が相まって、セット全体にこの上なく静寂で厳かな空気が漂いました。
カメラマンさんは、主にニーショット(ミドル)やバストアップ(クローズアップ)の構図を採用し、レンズの明るさ(大光圈)を活かして、背景の鬱蒼とした木々や漏れ出る光を、美しい水彩画のような円形のボケ味として表現してくれました。今回のチャイナドレスはかなりタイトにシェイプされた美しいカッティングになっているため、座った際に裾が不自然にたくし上がってしまわないよう、体幹(腰周り)にしっかりと力を入れ、しなやかで美しいボディラインをキープすることに細心の注意を払いました。
今回のコーディネートにおいて、白いオーバーニーソックスは非常に重要な架け橋としての役割を果たしています。光を浴びた際にわずかに放つ艶やかな質感が、ふくらはぎのラインをシャープに見せ、下半身のプロポーションを完璧に引き締めてくれます。足元の白いパンプスも、衣装全体の白と美しく響き合っています。
レタッチ(現像)の段階では、過度なCG合成などは行わず、撮って出しのデータが持つ温かみのある暖色系のトーンを大切に生かしつつ、空気感を高める微調整に留めました。今回の撮影は、天候にも恵まれ、太陽光が白い髪飾りやボレロの袖を美しく白く縁取る輪郭光(リムライト)として機能してくれたおかげで、非常にスムーズに進行しました。小道具の調達やスタイリングのフィッティングにはかなりの手間と時間を費やしましたが、最終的に仕上がった写真の中に、この上なくナチュラルで、かつどこか神秘的な彼女の魅力がしっかりと写り込んでいるのを目にし、計り知れない達成感を抱きました。最近のアウトドア撮影の中でも、特にお気に入りの珠玉のコスプレシェアになりました。