青島で行った今回の『原神』蛍(ほたる)のコスプレ撮影において、最大の試練となったのは潮風がもたらす厳しい寒さでした。作中の冬の装いというコンセプトに合わせ、赤と白を基調とした改良漢服風の冬衣装をセレクト。トップスは立ち襟とチャイナボタンの仕立てで、胸元や袖口には細やかな花鳥の刺繍があしらわれ、襟元と袖口を縁取る白いファーは冬らしい温もりを醸し出すだけでなく、冷たい風を遮る実用性も発揮してくれました。蛍らしさを再現するため金髪ロングウィッグをツインテールにまとめ、赤い花の髪飾りとタッセルを配置。メイクは目元の輪郭をくっきりと描き出し、瞳の存在感を際立たせることでキャラクターの可憐な気品に寄り添いました。
ロケ地には、伝統的な朱塗りの柱や木造建築が連なり、色鮮やかな提灯が無数に吊るされた祝祭感あふれる空間を選びました。ストーリー性のある画面を作るため、串に刺さったサンザシ飴(糖葫芦)と金文字で書かれた春聯(春節の対聯)を小道具として用意。艶やかな飴を纏った真っ赤なサンザシは自然光の下で美しい質感を放ちましたが、時間が経つと飴が溶けてしまうため、最高の状態のうちに素早くシャッターを切る必要がありました。春聯も画面に伝統的な色彩を加え、手に持ったり掲げたりすることで素晴らしい視覚的アクセントとなってくれました。
構図とポージングでは多彩な試行を重ねました。朱色の階段の手すりに寄り添い、少し身体をひねってレンズを見つめるカットでは、浅い被写界深度によって背後の提灯を柔らかな玉ボケへと昇華。全身を捉えたカットでは片脚を軽く上げ、白ストッキングとお揃いの白いショートブーツ、そして脚にあしらわれた赤いポンポン飾りを覗かせることで、無邪気で愛らしいニュアンスを表現しました。躍動感を出すためにサンザシ飴をカメラへと差し出す仕草を取り入れ、手前の飴を前ボケに、奥の人物にピントを合わせた奥行きのある1枚も完成。最も神経を使ったのは春聯を高々と掲げるカットで、文字が傾かないよう水平を保ちつつ体のバランスを取り、腕の力みで表情が強張らないよう意識を集中させました。
その後、赤い祈願リボンが無数に結ばれた大木の前へ移動し、両手を合わせて静かに祈るポーズを撮影。花びらと赤いリボンが織りなす空間は、非常に濃厚な色彩の広がりを見せてくれました。金髪ツインテールは事前にふんわりとした毛流れを作り込んでいましたが、強風に煽られて顔に張り付かないようヘアスプレーでの固定が欠かせませんでした。屋外撮影は光の移ろいが激しく、逆光下で補助光を当てながら顔立ちや衣装の刺繍ディテールを鮮明に残す工夫を凝らしました。衣装から舞台設定に至るまで、『原神』のキャラクター性を大切にしながら、伝統的な祝祭の空気を織り交ぜた本編写真。青島の冬風は身に沁みましたが、完成した写真を目にした瞬間、すべての苦労が心地よい達成感へと変わりました。