台風の直撃を受けて予定していた屋外の大ロケーション撮影はお流れとなり、急遽屋内ポートレートへと変更を余儀なくされました。この建物の巨大な掃き出し窓を利用して撮影を敢行したのですが、室内は広々としているものの光の条件は非常にシビアでした。外には濃い霧が立ち込め、室内は極めて薄暗い環境光という二つの極端な光源が合わさり、独特のローキー写真スタイルが生み出されました。いつ破綻してもおかしくない繊細なローキー撮影に根気強く付き合ってくれたカメラマンの優しさに心から感謝します。本当に忍耐力が試される作業でした。レフ板の位置がわずかにずれるだけで全身が真っ黒に潰れてしまうため、撮影中は常に立ち位置を微調整し、シルエットの縁がキャラクターの輪郭、特にスカートの裾や髪のラインを明瞭に描き出すよう徹底しました。
1枚目の写真は床の鏡面反射を利用して綺麗な倒影を作り出しており、反射が不自然にならないよう立ち位置の距離を何度も確認しました。2枚目は大判の窓枠が描く幾何学的なラインを活かし、左半分に広がるグレーブルーの工業港と、右半分に佇む少女の横姿を対比させています。この一連の写真は「疎外感」をテーマにしており、冷たい青緑系のトーンが現実世界との距離感を際立たせています。撮影技法的な観点から言うと、ローキー写真で最も重要なのはシャドウ部のディテールを残しつつ画面のクリアさを保つことです。ISO感度を抑え、現場の明暗比に合わせて透明感のあるクールな色温度を維持しました。急いで出発したため小道具を揃えきれなかったことが、かえって画面にミニマルな美しさをもたらし、台風がもたらした思いがけない副産物となりました。
ロビーを行き来しながらアングルを探す中、窓の外の港に霧が立ち込め、クレーンの影が霞んで見える様子は、まさにアークナイツの世界に迷い込んだかのような冷涼な雰囲気を醸し出していました。外は強風でしたが屋内にいたため、静かな撮影時間を心ゆくまで楽しむことができました。レタッチで全体の色調を青緑系に統一したことで、静寂で冷ややかな質感が一段と深まりました。被写体としては、横向きに立ちつつ控えめにピースサインを作ることで画面の重苦しさを和らげ、全体の冷たい空気感の中に生き生きとした少女の自然体をプラスし、脚とスカートの美しいラインを綺麗に見せています。二次元コスプレとして非常に記録に残す価値のある貴重な経験となりました。