アルバムを整理していたら、以前のイベント会場の外で撮影したスナップが出てきました。今回は相方とペアを組み、『名探偵コナン』に登場するちょっぴり珍しい母娘合わせに挑戦。私が毛利蘭コスプレ、相方が妃英理コスプレを担当しました。この写真を撮ったきっかけは、会場内を歩き回って少し疲れ、外の白い壁の前にちょうど光が綺麗に差し込む石段を見つけたことでした。シートを敷いて休憩がてら何枚か撮ろうとスタート。青いファイルケースを小道具に持ち、当初は知的でテキパキとした仕事モードの空気感を狙っていたのですが、撮り進めるうちにいつものコミカルな日常へと変わっていきました。
まずは私自身の装いから。蘭の制服は非常にオーソドックスで、濃紺のブレザーに同系色のプリーツスカート、インナーには白シャツを着用。そしてこのスタイリングの最大の魂となるのが、あの鮮やかなグリーンのネクタイです。ウィッグは念入りにカットし、頭頂部のトレードマークである反重力的なツノの毛束も、少し手間取りつつもしっかりと固定しました。当日は風が強めで、黒髪のロングストレートが顔にかかりやすかったため、撮影中は常に髪の流れに気を配りました。
続いて相方の妃英理の造型ですが、大人の女性としての包容力と威厳を完璧にモノにしていました。ここでの「母性」は心からの褒め言葉で、極めて知的で冷静沈着、ほんのりツンデレなエリート弁護士の佇まいそのものです。仕立ての美しいライトブルーのテーラードジャケットに、インナーには深紫のハイネックニットをセレクト。紫と淡いブルーのカラーコントラストが抜群に映え、プロフェッショナルな品格と華やかさを両立させています。黒縁メガネをかけ、ウェーブヘアに自然なニュアンスを出し、タイトスカートに肌色ストッキングを合わせた姿は、圧倒的な大人のオーラを放っていました。
二人で並んで腰掛けると、その対比が絶妙に際立ちます。蘭のみずみずしい女子高生らしさと、妃英理の洗練された大人の気品。ファイルケースを手に持ち、最初は事件の資料を深刻に読み解く緊迫感を演出しようとしていました。しかし実際には、二人とも途中で吹き出してばかり。私が俯いてネクタイを指差し、彼女がファイル片手にこちらを見つめているカットは、突風で斜めにズレてしまった私のネクタイを直そうとした瞬間、彼女の絶妙な表情がそのまま切り取られたハプニングの一枚です。最後はエリート弁護士と女子高生という堅苦しい設定を解き放ち、気の向くままにポーズを崩しました。糊が少し浮いてしまった私のツノの毛先を彼女が優しく整えてくれるカットなど、普段通りの阿吽の呼吸がそのまま宿っています。大げさなポーズを作らなくとも、さっき会場で見かけた面白い出来事を雑談したり、風でメイクが直せないことを笑い合ったりする飾らない状態こそが、最も生き生きとした瞬間を捉えてくれました。
今となってはクラシックな名作アニメの衣装であり、近年のイベント会場で見かける頻度は決して高くないため、確かにマイナーな合わせかもしれません。往年の作品の衣装で上質な仕立てのものを探すのは難易度が高く、この写真たちをストックしたまま温めていた理由でもあります。撮影中は原作の性格に寄り添い、母娘という関係性のみならず、仕事や日常の会話の中で交わされる繊細な空気感を大切に表現しました。
イベント写真の醍醐味は、こうした作為のないスナップの瞬間にこそ宿っています。スタジオライティングのような計算され尽くした完璧さとは異なり、自然光と風が髪を揺らすリアルな質感こそが、服のシワやウィッグのテクスチャを生き生きと際立たせてくれます。午前中に会場を巡り、午後は外の石段で光を探したこの記録は、まるで心地よい休日の小旅行のようでした。