今回の哪吒三太子の漢服のメイクとスタイリングは、準備段階からシャッターを切る瞬間まで並々ならぬ熱量を注ぎ込み、完成したビジュアルは個人的にも心から気に入っています。お顔のメイクはCookie先生にお願いし、アイメイクや額の花鈿(額飾り)に至るまで極めて繊細に仕上げていただき、神話の登場人物ならではの神聖さと少女らしいみずみずしい躍動感を見事に両立させてくださいました。最初の4カットはCookie先生と河社君先生のお二人にカメラを構えていただき、青々とした蓮の葉が生い茂る蓮池のほとりを舞台に撮影。キャラクターの世界観に寄り添うため、地紋の浮き出る深紅の交差襟ロングドレスを厳選し、白のプリーツインナーと黒のベルトを重ね、首元には金色のメタルチョーカーをレイヤードして視覚的な重厚感を演出しました。
この装いで最も試行錯誤したのは、小道具の重量と所作の連動でした。手にした金の輪(乾坤圏)と長柄の槍はかなりの重さがあり、ターンや振り返り、印を結ぶ手元の所作を硬さを排して滑らかに見せるため、腕の筋力を限界まで使いました。さらに衣装には幾重もの赤い薄紗が纏われているため、蓮の茎に足を取られないよう足運びには細心の注意が必要でした。しかし風を孕んでふわりと舞う布の軌跡が、武具の持つ武骨な硬質感を程よく和らげ、画面全体に優美な軽やかさを添えてくれました。
屋外の自然光は非常に移ろいやすく複雑でしたが、カメラマンさんたちは逆光やサイド逆光を巧みに操り、深いエメラルドグリーンの蓮の葉を背にして赤い生地の贅沢な質感を鮮やかに浮き彫りにしてくださいました。中華風ファンタジーの壮大な空気を高めるため、レタッチで画面内に舞い散る火花の光をプラス。古風撮影としてのコスプレへの挑戦として表情管理にも徹底してこだわり、闘う神としての鋭い覇気を放ちながらも、伝統美の優雅な気品を失わないよう意識しました。全身の体力を使い果たすハードな撮影でしたが、画面の中に宿る力強さとたおやかな美しさの調和を目にした瞬間、すべての苦労が報われたと確信しています。