この葦原の果てに視線を向けると、ちょうど風が隙間という隙間を吹き抜けていく瞬間でした。今日撮影した博麗霊夢コスプレは、こうした荒野の空気感をまとったロケーションにとてもマッチしていると感じます。実写写真を通して、東方Projectのこのキャラクターに対する私なりの表現のこだわりをシェアしたいと思います。
今回の衣装の準備にはかなりの時間と気を配りました。赤いへそ出しトップスの生地にはしっかりとした質感のある布地を選び、襟元と袖口の白いフリルが重要なアクセントになっています。重なり合う白い花びらのようなフリルに赤いステッチの装飾が加わることで、上半身に視線が集中するように仕上げました。ウエストの露出部分は、重厚な葦の草むらの中でシルエットをすっきりと見せてくれます。頭飾りには最も特徴的な赤白の大きなリボンを配置し、両脇の髪飾りも抜かりなく調整。折り目や固定の固定位置ひとつ取っても忍耐が試される作業でしたが、ウィッグと髪飾りに微調整を加え、頭頂部にしっかり固定できるようにしました。風が強い屋外撮影では頭飾りが崩れることがよくあるからです。
今回の撮影小道具は手作りの御幣と札(符文)です。御幣についている赤白の紙垂(しで)には硬めの紙材を選び、風に揺れても柔らかく潰れてしまわずに、ピンとした形状を保てるようにしました。札の模様も自分で描き、フチ部分にヴィンテージ加工を施すことで本物らしい質感を出しています。3枚目の写真のように、片手で札を掲げ、もう片方の手で御幣を構えるポーズでは、キャラクター特有の飄々としつつも強い守護の意志を込めたオーラをしっかりと捉えることができました。
撮影場所に選んだのは、背の高く茂った野生の葦原です。周囲の暖色系の黄色や淡いブラウンのトーンが、私の赤白の着こなしと心地よい視覚的コントラストを描き出しています。夕方の光はとても柔らかく、顔立ちや髪の毛に綺麗な輪郭光(リムライト)を作ってくれました。あえて無理なライティングをせず、風そのものを最高の演出として活かせる自然な雰囲気がとても好きです。葦の草むらでの撮影では、カメラマンが雑多な枝葉を避けるアングルを探す必要があり、写真1のアップでは表情と頭飾りのディテールを強調し、写真2の全身構図では風にたなびく紙垂や御幣、札を画面の感情の中心に配置しました。
今回の巫女装束で屋外を動き回るのはなかなかの体力勝負で、ただ綺麗な服を着るだけでは済まない難しさがありました。メイクに関してはアイメイクをあえて薄くし、清冷でどこかサバサバした眼差しを残しています。博麗霊夢という設定には独特の自然体な脱力感があり、濃いメイクで飾らなくても、彼女自身の自信と颯爽とした佇まいだけで十分だからです。風で髪が乱れる瞬間の方が、綺麗に整っている時よりもかえって物語性を感じさせてくれます。
コスプレ撮影の本質は、緊張感のない自然体な状態を見つけることだと思います。枯れた草の中に立ち、冷たい風が腕をかすめるのを感じながら札を握りしめていると、ポーズの硬さは自然と消え去っていきます。素晴らしい作品は必ずしも華やかなスタジオ撮影である必要はなく、このように人と自然が結びつく屋外コスプレだからこそ、キャラクターに生き生きとした呼吸感が宿るのだと感じます。風の匂い、枯れ草を踏みしめる音、そのすべてがキャラクターの一部となった満足感のある撮影でした。