今回の「花鳥風月」のロケーション撮影は秋の屋外を選び、和服コスプレのスタイリングと自然風景の季節感を融合させることを全体のコンセプトとしました。
1枚目は夕方の芦の茂みで撮影したもので、遠くの山と水面を背にし、柔らかい光の中で扇子を持ってかがむ姿がとても静寂な雰囲気を醸し出しています。2枚目は正午の強い光の下での正面構図で、光は硬いものの、着物の淡いブルーの地色と桜の模様がとても鮮明に写っており、扇面の紅葉も大きなポイントになっています。3枚目は逆光で撮影し、手前に紅葉を配置してレンズを少し遮ることでぼかした光斑を作り出し、横顔の輪郭光が非常に目を引く仕上がりになりました。
撮影前にはウィッグのレイヤー感を意識して整えました。ブルーグリーンの毛束は長くてボリュームがあるため、ストレートすぎると生き生きとした躍動感が損なわれてしまうからです。腰元の編み込み帯締めと帯はスタイリング全体の視覚的中心であり、固定するのに少し苦労しました。和服は重ね着が多く何層にもなっているため、本番の撮影では姿勢や腕の置き方に高い精度が求められましたが、手に持つ折りたたみ扇子の角度を変えることでボディラインを美しく補正できました。
ロケーション撮影はやはり現場の光の変化に依存するため、時間帯ごとの暖色・冷色の色温度が仕上がりの質感に大きく影響を与えます。レタッチでは主に色彩のトーンを微調整し、透明感がありつつも秋の温もりを帯びた画面のバランスを維持するよう意識しました。「花鳥風月」というテーマ自体が非常に古典的な絵画の趣を持っているため、アングルを決める際には地面の薄(ススキ)や遠くの山並みの稜線にまで気を配り、二次元の絵のような情景を切り取りました。