今回撮影したのは、『アイデンティティV』の漁師の「真理の下で」シリーズの衣装、すなわち「夢導き」です。青と黒を基調としたメインカラーに、幾重にも重なるレースや薔薇のエレメントを組み合わせることで、キャラクター特有の神秘的でクールな雰囲気を際立たせています。
この企画の撮影を決めてから、まずは衣装の再現度にかなりのこだわりを詰め込みました。このドレスは生地が贅沢に使われており、ブルーのサテン生地と黒いチュールネットのレイヤーが鮮明で、特に腰からお腹まわりはパッチワークと刺繍によって精巧なテクスチャが表現されています。レンズの前で完璧なウエストラインを見せるため、内側の構造には非常にしっかりとしたコルセット設計を施しました。着用時は少し締め付けられますが、コスプレにおいては身体の視覚的な美しさが最も重要です。スカートの裾の立体裁断もポイントで、ハードチュールでボリューム感を支えることで、大きな青い薔薇の飾りが腰元にしっかりと固定され、歩いた時に崩れるのを防いでいます。
メイクとヘアセットに関しては、ライトブルーのウィッグにナチュラルな空気感を持たせ、頭皮に張り付いて見えないように、耐熱ファイバーを使って丁寧にレイヤーカットと緩やかなカールを施しました。ヘッドドレスの茨の王冠とブルーの宝石のあしらいが絶妙で、頭頂部に視覚的な重心をプラスしてくれます。アイメイクには偏光パールの効いたクールブルーの輝きをセレクトし、目尻の輪郭を深く強調することで、瞳をより深みのある印象にし、夢導きならではのクールで物憂げ、かつどこか芯の強い神髄を見事に表現しました。リップには柔らかなローズ系の上品なカラーを選び、全体の寒色系が持つ鋭さを程よく和らげています。
今回は背景セットも非常に没入感のある仕上がりになりました。大量の青い薔薇、優美に垂れ下がる白のシフォン、そして白い翼や羽毛をふんだんに使い、幻想的な夢の世界を作り上げました。スタジオには欧風レトロな姿見や彫刻が施された椅子を配置し、空間の奥行き感を演出しています。撮影中はシャボン玉マシーンやレインボーカラーの屈折光を使用し、非常にファンタジーな光影エフェクトをスナップしました。例えば、グラスと青い薔薇を手にした数枚のカットでは、ゴブレットの角度を微調整することで、グラスの表面に現場の泡の反射を綺麗に捉え、画面全体に波打つ水面のような儚く美しい「青い薔薇の背景」の魅力を演出できました。
このように衣装が大きく要素が複雑な作品の撮影は、本当に体力が試されますが、レンズの中にすべてのディテールが完璧に表現され、セットと人物の絡み合いが絶妙にマッチしているのを見ると、すべての苦労が報われたと感じます。衣装の型紙起こしから最終的な仕上がりにいたるまで、多大な情熱と心血を注いだ今回のコスプレ撮影は、一生忘れられない素敵な経験になりました。