今回の『アークナイツ』世界観をイメージした豊川祥子のコスプレ撮影は、スタイリングの準備にじっくりと時間をかけました。ウィッグにはペールアイスブルーのロングウェーブを採用し、自然なボリューム感を出すために根元に逆毛を立ててセット。頭頂部にそびえる巨大な漆黒の湾曲角はずっしりと重く、内部のウィッグネットとピンでがっちり固定しなければ、大きな動きですぐに位置がズレてしまうほどでした。メイク面ではキャラクターの持つ冷涼な気品に寄り添い、赤みを帯びたアイシャドウを丁寧にぼかし、透明感のあるピンクのカラコンを装着して陶器のように白いベースメイクで仕上げました。
衣装は極めて装飾的なダークゴシックロリータドレス。上半身はストラップとメタルチェーンがあしらわれた黒のコルセット仕立てで、胸元には深藍のサファイアブローチが輝きます。スカート部分は4〜5層もの生地を贅沢に重ね合わせた超大ボリュームで、最外層には地模様の入った黒生地、内側には幾重もの白レースフリルが覗きます。歩くだけでも細心の注意が必要でしたが、裾をふわりと持ち上げてポーズをとると圧倒的な映えを見せ、空間全体のビジュアルテンションを一気に引き上げてくれました。脚元にはストライプ柄の黒ストッキングを合わせ、メタルバックル付きのエナメルポインテッドトゥショートブーツで足元を引き締め、すらりと伸びやかなレッグラインを演出しています。
ロケ地にはクラシカルなヨーロピアン調の実景スタジオをセレクト。深紅のレザー製チェスターフィールドソファ、重厚な木製本棚、クラシックピアノなど上質な調度品が揃う空間です。画面の単調さを防ぐため、羽ペン、羊皮紙の手紙、蓄音機などのアンティーク小道具を巧みに配置。手にした銀色の十字長剣は本物の金属製で非常に手応えがあり、今回の撮影で最大の体力勝負となりました。
撮影全体を通して、ドラマチックな光と影の設計を徹底しました。薄暗い室内をベースに、暖色系のキャンドルライトと寒色ブルーのストロボを衝突させ、コントラストの効いた重厚な絵作りを展開。アングルごとに異なる感情を表現し、ソファではスカートの重なりを活かして脚を組み気怠さと威厳を漂わせ、ピアノの傍らではうつむき加減で思索に耽る佇まいを見せ、剣を構える際には体幹をグッと引き締めて両手または片手で柄をブレずに保持し、視線にも鋭い気迫を込めました。とりわけ片手で剣を掲げて顔を半分隠すポーズは腕への負荷が凄まじく、重心のコントロールが成否を分けました。
ボリューミーなスカートゆえ、ポーズを変えるたびに布地のドレープやレースの向きを手櫛で整え、衣装の上質なマテリアル感を余すところなく引き出しました。今回の作品で特に手応えを感じているのは、重厚なゴシック様式と私自身の個性が絶妙に調和した点です。手紙に走るヴィンテージな筆跡やソファに掛けられた真紅のベルベットマントなど、小道具への細やかなこだわりが画面に濃密な物語性を吹き込んでくれました。撮影後は全身に疲労が残りましたが、モニターに映る陰影と構図の美しさにすべての苦労が吹き飛びました。今後も二次元撮影を通じて、作り込まれた重厚な衣装や造形に果敢に挑戦していきたいです。