今回挑戦した『〈物語〉シリーズ』の集合写真撮影が、ついに無事完了しました。斧乃木余接というキャラクターに挑む上で最大の難関となるのは、彼女特有の無機質な「人形感」とどこか不気味な「怪異の気配」をいかに具現化するかという点でした。設定に寄り添うべく、メイクだけでも並々ならぬ情熱を注ぎ込みました。緑色の眉はアイシャドウとアイブロウジェルを調合して幾重にも塗り重ね、ウィッグも事前に綿密なカットと熱成形を実施。特に青緑色のツインテールは、ふんわりとした広がりと人工物らしい硬質なカーブを絶妙なバランスで共存させ、頭頂部に鎮座する黄色いウサギのぬいぐるみの髪飾りと相まって、極めて鮮烈なインパクトを創出しました。緑のカラコンを装着して鏡を見つめた瞬間、無機質な何者かに自らを凝視されているかのような不思議な感覚を覚えました。
衣装の重層的な構造美は、個人的に最も気に入っている要素です。オレンジのパフスリーブワンピースに星柄があしらわれた白のワイドセーラーカラーを重ねることで、視覚的な華やかさを強調。スカートの裾は赤と白が交互に重なり合うティアードフリル仕立てとなっており、歩行に合わせて自然な広がりを見せます。足元には黒と青のボーダー柄ストッキングを履きこなし、全体の色彩バランスを引き締めるため鮮烈なイエローのショートブーツをコーディネートしました。彩度が極めて高い装いであるため、スタジオ内で散漫に見えないか懸念もありましたが、計算されたストロボ照明を当てることで色彩のコントラストが見事に際立ち、視線を惹きつける圧倒的な絵作りが完成しました。
当日は教室の美術セットを舞台に長時間の試行錯誤を重ねました。意思を持たない人形が突如として動き出すかのような不気味さを表現するため、ポージングにはあえて硬直した所作を多用。着席時に背筋を直角にピンと伸ばし続けたり、唐突に焦点のない虚ろな眼差しをレンズに向けたりと工夫を凝らしました。教室の机や椅子、黒板といった調度品にサイドからの自然光が差し込み、どこか学校の怪談を彷彿とさせる静謐な怪異のムードを醸成。同じ作品を愛する仲間たちと挑む集合写真の醍醐味は、テイクの合間に原作の独特な演出に近づけるべくポーズを熱心に議論し合える点にあります。
小道具とウィッグの完璧な調和によってキャラクターの識別性は極めて高く、ファインダーの前でスイッチを入れるたび、深夜までウィッグの毛先を削りメイクを検証した日々の疲労が一瞬で吹き飛びました。二次元の虚構の世界でありながら、衣装や造形を通じてそのアヴァンギャルドな世界観を三次元に具現化できたことは、何物にも代えがたい特別な体験でした。
写真の細部について、鮮やかな原色使いのおかげで、カメラの撮って出しの段階から息を呑むほどの緊張感を宿していました。全身のフリルの重なりを捉えたワイド構図から、人形らしいメイクを際立たせるバストアップの寄りカットに至るまで、機械的な冷徹さとポップな愛らしさが同居する余接ならではの二面性を余すところなく描写。この作品集を通じて、『〈物語〉シリーズ』特有の奇妙で美しい怪異の世界観を皆様に感じていただければ幸いです。