絵世花鳥風月「鶴棲遥夕」のコスプレ企画は、構想から実現に至るまで足掛け2年もの歳月を要しました。昨年はすべてのスケジュールを確定させていた矢先、家族が急病に倒れ看病が必要となり、無念の中止を余儀なくされました。当時は急ピッチで仕上げてもらった衣装や小道具を泣く泣くクローゼットで1年間眠らせることになりましたが、今回ようやく撮影が叶い、待ち続けた期待に最高の形で応えることができました。
ネットで話題だったこの「天空の鏡」を探し求めるため、大人になった私たちオタク仲間で往復数千キロの道のりを駆け抜けました。高山病、激しい水あたり、下痢、そして撮影中の度重なる擦り傷や打撲に加え、無人地帯の過酷なルートを突破するなど、まさに試練の連続でした。しかし、世界の果てを思わせる白い塩の結晶が広がる岸辺に実際に降り立った瞬間、積み重なった疲労や苦痛は一瞬で吹き飛んでいきました。
今回の完全手作業による実景ロケでは、AIによる補助を一切使わず、すべて現場のリアルな光景を収めています。絵画から抜け出た仙女の気品を宿すため、ヘアメイクでは清涼感と研ぎ澄まされた透明感を意識。刻一刻と変化する自然光を追いかけ、全員で時間に追われながらシャッターチャンスを狙い続けました。1枚目の立ち姿の構図では、水面に完璧な水鏡を捉えるべく風が完全に止む奇跡の瞬間を待ち、光のエフェクトとなって舞う小鳥を受け止めるように手を伸ばしました。遠くの雲海と美しい逆光が、衣装のシルエットを鮮やかに縁取っています。2枚目の水辺にしゃがみ込むポーズでは、氷のように冷たい塩水に指先を浸した瞬間、周囲を舞う白い蝶や繊細な光の筋に包まれ、まるでキャラクターそのものと魂が同化したかのような錯覚を覚えました。水面に大きく広がる白のスカートと青藍の帯が見せる軽やかさは、衣装の卓越した仕立てとカメラマン先生のアングル探求の賜物です。
過酷を極めたロケを振り返ると、本当に波乱万丈でした。幾重にも重なる重厚な衣装で塩湖の険しい地盤を歩くのは体力を激しく消耗し、衣装を汚したり破いたりしないよう常に細心の注意を払い続けました。しかし完成した写真を目にした瞬間、乗り越えてきたすべての苦労が報われたと確信しました。カメラマンの洛洛さん、メイクの酔蘭さん、レタッチの之之さん、そして困難を共に乗り越えてくれた仲間たちに心から感謝します。これほど過酷な自然環境の中で納得のいく作品を創り上げられたのは、全員が全力を尽くした証です。次なる旅路への出発路を楽しみにしています。