赤いコートを羽織り、赤いスーツケースを引いて東京の街を歩きながら、17歳の夏に井芹仁菜コスプレの撮影を行いました。
今回の撮影で最も頭を悩ませたのはアングル選びでした。ワイドショットと寄りのカットを組み合わせる以上、夜景特有の光と影を最大限に活かす必要がありました。例えば2枚目の写真では、広大な都市の背景、ガードレールに沿ったクールブルーの電飾、そして対岸の高層ビルの光の輪がぽつんと佇む小さな人影を引き立て、その孤独感と都会への憧れがキャラクターの心情に見事に重なりました。こうしたワイドショットは人物を周囲の環境に溶け込ませ、夜の水面の反射も相まって非常に完成度の高い絵作りができます。
一方、1枚目のアップカットではガードレールの輪郭光を活かして人物を際立たせました。ライトの光が横顔やシルエットを美しく縁取るよう立ち位置を微調整したことで、黒ストッキングが寒色系の光の中で美しい質感を放ち、脚のラインもくっきりと際立ちました。青みを帯びた夜景の中で赤いコートが鮮やかな明暗・温冷のコントラストを描き、小道具の赤いスーツケースと合わさって強烈な視覚的インパクトを生み出しました。
衣装のスタイリングにもこだわり、白シャツに赤のダブルブレストコートを合わせ、歩くたびにプリーツスカートの裾がリズミカルに揺れる躍動感を演出しました。理想の絵を撮るために橋の上を何度も往復しましたが、夜景の屋外光は複雑で、露出オーバーもアンダーも雰囲気を損ねてしまうため、プロのカメラマンさんはライティングの調整に細心の注意を払ってくれました。
この衣装を着て川沿いを歩いていると、彼女特有の頑固でちょっぴり反抗的な感情が自然と湧き上がってきました。スーツケースを地面に引きずる音など、リアルなディテールも夜景の空気感とともにしっかりと写真に収められました。実際のところ、夜景でのワイドショットポートレートは要求されるハードルが高く、事前にキャラクターへの深い理解がなければ、ただの平凡な風景写真になってしまいがちです。
今回のヘアメイクは再現度が高く、ウィッグを何度もカットして調整し、寒色系の柔らかな光と合わせることで夜の空気感に自然と馴染みました。レタッチでは背景のシアンブルーの彩度を調整し、人物の赤みがかった暖色系カラーをより引き立てました。日中のロケ撮影と比べて、夜景のコスプレ撮影は明暗差が激しく、顔への光の当たり方に細心の注意を払う必要があるため、一層やりがいのある挑戦でした。
大変な撮影ではありましたが、都会の夜景を駆け抜けた体験は忘れられない思い出になりました。小道具の運搬やレフ板の補助をしてくれたアシスタントの協力のおかげで、心からお気に入りの作品を形にすることができました。