今回の撮影ロケーションにはガラスの金魚池(キンギョバチ)があるレトロなデザートショップを選びました。魚たちが泳ぐ動的なエフェクトを活かして、キャラクターの静謐さを際立たせることが当初の狙いでした。『アークナイツ』における紫野遥(紫野遥コスプレ)のキャラクター設定は独特であるため、メイクには特に多くの工夫を注ぎました。まずはピンクパープル系のカラコンを選び、深みのある赤のアイラインでどこか気だるげなアンニュイな目元を描き出しました。ウィッグにはオレンジレッドのグラデーションを採用し、毛先を大きめのウェーブカールにセット。頭頂部の特製ダークブラウンリボンによる適度なボリューム感が、フェイスラインを美しく引き締めてくれます。衣装には赤茶色のチェック柄ワンピースを選び、白いレースのリボンタイを合わせることで、店内の温かみのあるアンバー(暖黄色)のライティングと見事に調和させました。
撮影における最大の難所は、ガラス越しのスナップ撮影でした。ガラスの反射光と向き合いながら身体の角度を細かく調整し、カメラの映り込みを防ぎつつ、泳ぐ金魚がちょうど視線の先や指先に重なるベストポジションを探り続けました。カメラマンさんはガラスの透過と反射を巧みに操り、窓外の街並みや店内のシャンデリア、そして水中で揺らめく金魚の姿を重ね合わせることで、シュールレアリスムのような幻想的な世界観を構築してくれました。2枚目の俯瞰(見下ろし)アングルでは反射を利用して窓外の通行人を捉え、こうした偶然の産物が写真に豊かなストーリー性を添えてくれました。
キャラクターの凛とした清冷な気品を表現するため、表情はあえて笑顔を作らず、瞳の焦点と眼差しの深みで内面を伝えることに集中しました。後処理のカラーグレーディングでは周囲の石壁や木製キャビネットのトーンを抑え、暖色の光源を残して赤とブラウンのコントラストを深めることで、顔に落ちる柔らかく温かな光の艶感を際立たせました。撮影はおよそ3時間に及び、様々な水位で泳ぐ金魚たちとインタラクションを重ねながら、納得のいく美しいシルエットを追求しました。店内にあったパイナップル、バナナ、桃などのフルーツ小道具も画面の彩度を絶妙に引き立て、主役を邪魔することなく構図全体に豊かな深みを与えてくれました。二次元コスプレイヤーとして世界観に没入する試みとなり、非常に特別な撮影体験となりました。