今回の撮影は海辺の防波堤をロケーションに選び、静寂で清冷な空気感を表現することを目指しました。着用したJK制服は王道の組み合わせで、白の半袖シャツにブラウンのチェック柄リボンタイを合わせ、ボトムスにはネイビーのプリーツスカートをセレクト。全体が単調になってしまわないよう、黒ストッキング(サイハイソックス)と黒の厚底ローファーを合わせ、頭にはダークブルーのベレー帽をかぶることで視覚的なレイヤー感を高めました。
撮影当日は曇り空だったため光がとても柔らかく、強い直射日光がなかったことが、自然な肌の質感や低彩度のトーンを引き出す上で大きな助けになりました。防波堤のコンクリート階段を前ボケやフレームとして活用し、一冊の本とダークトーンのヴィンテージバッグを小道具として用意。座りポーズでもモデルが自然に身体を預けて小道具と関われるようにし、ポーズが硬くなるのを防ぎました。例えば本を手にしてレンズを見つめたり、両手で膝を抱えて顔を上げたり、片手をベレー帽に添えて水面を眺めたりといった所作を取り入れました。
画面構成においては中景や引きのフルショットを多用し、遠くの海面や風力発電の風車を画角に残すことで周囲のロケーションをしっかりと伝えました。被写体が画面の中で平板に見えないよう、モデルの視線を様々な方向へと誘導し、情緒が自然と滲み出るように導きました。黒ストッキングとプリーツスカートの組み合わせは、座った姿勢でも脚のラインをすらりと美しく見せてくれ、ローファーもクラシカルな学生らしさを引き立ててくれます。
今回の仕上がりは全体として冷灰色寄りの色調で、フィルム撮影ならではの繊細な粒子感をほんのり漂わせています。ポートレートを愛する一人として、過度に大げさな表情やポーズに頼ることなく、衣装のコーディネートと自然環境の調和だけで醸し出される空気感がとても気に入っています。海風が髪を揺らし、本のページをめくり、そんな静かな思索の瞬間を写真の中に留めることができた、思い出深い海辺のポートレートとなりました。