上海で半月以上も雨が降り続いたため、急遽思い立って三亜へ撮影に飛びました。今回持参したのはホタルの「光を追うホタル」の衣装です。白、青緑、アクアブルーを基調とした爽やかな色合いは、晴れ渡った三亜の気候にぴったりでした。出発前は長旅でウィッグやスカートのドレープが潰れないか心配していましたが、現地に降り立って眩しい太陽を見た瞬間に胸をなでおろしました。初日の午後はまず浜辺へ向かい夕日を狙おうとしたものの、日差しが強すぎたため翌朝の撮影に切り替え、中庭の噴水を背景に選びました。
噴水の白大理石は清潔感があり、水しぶきの演出と相まって澄んだ清涼感をもたらしてくれます。全身のカットでは、脚のラインをすらりと美しく見せるためあえてローアングルの煽り構図を採用しました。「光を追うホタル」の最大の魅力はスカートの広がりとレッグリングにあり、シースルー素材の繊細な織り目は逆光を当てることで初めて本来の美しさを現します。アシスタントさんに扇子で風を送ってもらったり海風を待ったりしながら、スカートがふわりと宙に舞う決定的な瞬間を狙いました。風が強いと髪が顔にかかって表情を保つのが難しく、納得のいく全身の動的なカットを捉えるまでに1時間近く粘りました。
その後階段へ移動すると、階段の力強いラインと石壁が余分な光を遮り、クリアな陰影を作ってくれました。日陰に佇むことで白チュールの白飛びを防ぎ、柔らかで上品なニュアンスを演出できました。至近距離のハーフショットでは衣装の細部に焦点を当て、首元のパールチェーンやシースルーの手袋が照り返しを受けて美しく輝く姿を収めました。
温室でのカットは嬉しい誤算でした。当初は休憩のつもりで立ち寄ったのですが、室内の瑞々しい青苔とガラス天井から注ぐ光が素晴らしく、鏡の反射を利用した幻想的な構図で深みのある世界観を作り出すことができました。温室の植物が反射するほのかなグリーンの光が顔立ちを照らし、メイクの透明感をいっそう引き立ててくれました。
屋外の南国リゾートロケゆえに湿度が高く、ベースメイクのキープ力が試されました。汗による崩れを防ぐためベイクドメイク(お粉の重ね付け)を2度施し、長時間の安定感を確保しました。衣装内部のウエストシェイプがボディラインに綺麗に沿い、ストッキングとレッグリングの組み合わせが全体の視覚的なバランスを美しく整えてくれます。
現像工程では、屋外の直射日光で白チュールがくすんで見えやすかったため、コントラストを高めつつハイライトの質感を調整し、黒潰れや白飛びが起きないよう配慮しました。衣装には光を反射するポイントが組み込まれており、日中では目立ちにくいものの、光が透過した際の美しい屈折が画面に豊かな表情をもたらしてくれました。真夏の三亜旅行撮影は体力を使う場面も多かったですが、多彩な光と影の中で素晴らしい瞬間をたくさん残すことができました。混雑を避け背景をすっきりとクリアに収められた噴水際のカットが、今回の最もお気に入りの一枚です。