この深ブルーの日系JK制服に身を包み、重慶の緩やかな坂道の階段に立つと、シャッター音とともに、軽音部ならではのリラックスしたラフな日常の雰囲気を再現したいという今回の撮影の初志が湧き上がってきます。平沢唯として、トレードマークであるオレンジのショートヘアや黄色のヘアピンだけでなく、衣装のディテールもコスプレ作品のクオリティを左右します。シャツのリボンは、かっちり結ぶのではなく、あえて無造作に結ぶことで、キャラクターの大雑把で縛られない性格を表現しました。あの青と白のストラップや薄オレンジのニットマフラーは、重慶のこの季節の移り気な天気に合わせてコーディネートした小道具で、防寒だけでなく画面の色彩に立体感(レイヤード感)をプラスしてくれます。
今回のロケ地には、重慶の非常に生活感あふれるストリートを選びました。私は街角、階段、手すりといった日常のありふれたシチュエーションで撮影するのが大好きなのですが、それはこうした場所が人物の表情や佇まいを完全にリラックスさせてくれるからです。あの巨大な黒いギターケースを背负って階段を上り下りするのは、実際には軽量化された小道具のケースとはいえ、肩に背負うだけで青春のエネルギーが満ちてくるのを感じます。ポージングのデザインでは、いかにも型にはまった硬いポーズを避け、食パンをくわえて振り返ったり、片手で手すりを掴んで体を前に傾けたり、さらには片脚をひょいと上げるようなチャーミングな動きを取り入れました。カメラマンさんのスナップのタイミングが絶妙で、あの天然っぽさと活発な特質を完璧に捉えてくれました。
撮影では、重慶ならではの独特な光と影を存分に活かしました。通りの両側に建物や木々が立ち並んでいるため、隙間から差し込む光が体に当たる感覚が非常に柔らかく、肌のトーンを自然で透明感のあるものに見せてくれます。その中の一枚、歩道に立って片脚を跳ね上げたスナップは、このシリーズの中でもお気に入りの動きの一つです。大口径レンズを使って背後の木々や伸びるストリートを浅い被写界深度でぼかし、背景(焦外)を柔らかく仕上げることで、人物の主役を瞬時に際立たせました。王道の黒タイツと制服ローファーの組み合わせによって、単なる衣装の着用に留まらない、純粋な日系JKの雰囲気が自然と滲み出ています。
実は、この衣装に袖を通す前に、メイクの造形にかなりのこだわりを詰め込みました。二次元キャラクター特有のみずみずしさを再現するため、あえて濃すぎる陰影(シャドウ)を減らし、アイメイクの輝きを強調しました。瞳の細かなハイライトやまつ毛のカール具合が、あの無垢な(無辜な)印象を際立たせ、活発で動き回る設定にもマッチしています。肌馴染みの良いオレンジ系のリップを合わせることで、カメラ越しにも血色がとても良く見え、オレンジのウィッグとも素晴らしい呼応を見せています。髪飾りの位置も何度も微調整し、最終的にあのトレードマークである黄色のヘアピンをサイドに留めました。これにより、風が吹いて毛先がなびいたときでも、視線のフォーカスが遮られないようになっています。
優れたコスプレ作品は、必ずしも豪華で華麗なスタジオの中で完成させる必要はないと感じています。リアルな生活の質感を宿したストリート、赤レンガの壁、あるいは普通の歩道こそが、キャラクターに生命力を吹き込んでくれます。今回の撮影プロセスは本当に楽しくて、まるで放課後に友達と街をぶらぶら歩いているかのようでした。王道の正面からのカットだけでなく、俯瞰での撮影や、手すりや木の葉を手前のボケ(前景)として遮る構図も大好きです。これにより、まるで彼女の何気ない一瞬の眼差しを盗み撮りしたかのような、強烈なストーリー性が生まれ、生き生きと自然な画面に仕上がります。
撮影と後処理(レタッチ)の面では、過度に大げさなフィルターは使用せず、画面本来の色彩を残しました。ただ色温度和コントラストに微調整を加えることで、トーンをより暖かく明快な方向へ寄せました。これは私が一貫してこだわり続けていることでもあります。コスプレ作品も人物写真(ポートレート)の一種であり、人物が最もリラックスした一瞬を捉えることは、無理に作ったポーズを100個決めることよりも勝っています。ファインダー越しにこの制服を着て、リュックやギターケースを背負っている自分の姿を見ていると、まるで軽音部のメロディが耳元で鳴り響いているかのような錯覚を覚えます。この写真集は、重慶のストリートでの短くも楽しい散策の時間を記録したものです。服の裾をいじったり、ふと頭を上げたりするだけでも躍動感に満ちあふれており、私の中でのこの日系JKというテーマの表現目的を十分に果たすことができました。