今回の作品は山間の美しい渓流ロケーションにて撮影を行いました。氷雪系キャラクターというチルノの設定に寄り添い、自然の澄んだ水流をメインのインタラクティブ要素として取り入れています。
衣装面では、淡いブルーのロリータ風ドレスを身に纏いました。スカート部分には幾重もの白いフリルと繊細なレースが重ねられており、身体を回転させたり水面を踏みしめたりするたびに、優美で立体的なドレープを描き出します。首元の大きな赤白ドット柄リボンが爽やかな青白のトーンの中で鮮烈な差し色として機能。頭上には雪の結晶の髪飾りが添えられた大ぶりのリボンを戴き、手元にはお揃いの雪の結晶ステッキを携えました。背中に装着したホログラム(オーロラ)仕様のアクリル製の羽根は個人的に最も気に入っている意匠で、陽光を浴びて七色のプリズムを放ちつつ、木漏れ日が揺れる森の光の下でも過度な主張をしすぎることなく、妖精ならではの幻想的な質感を美しく演出してくれました。
当日の渓流の水は驚くほど冷たく、レースのサンダルと白いアンクレットを着けた足元で川の中に立つと、速い流速と滑りやすい川底の岩石に足を取られそうになり、ポーズを決めるたびに重心の維持に全神経を集中させました。足先で水しぶきを跳ね上げる決定的な瞬間を捉えるため、カメラマンさんと何度もタイミングを合わせてテイクを敢行。水滴が激しく舞い散る一瞬にも表情筋を崩さずキープし、同時にドレスの裾や羽根プロップが水に濡れすぎないよう注意を払いました。布地が水を吸うと重量が増して所作の可動域が制限されてしまいますが、躍動感あふれる画を切り取るため、その苦労も喜びに変わりました。
手にした赤いアイスキャンディーは、撮影現場で急遽プラスした遊び心あふれるアクセントです。原作の『東方Project』におけるチルノは非常に活発で好戦的な氷の妖精ですが、今回の二次創作アレンジでは彼女の持つ無邪気で茶目っ気たっぷりな愛らしさを強調したいと考えました。冷気を自在に操る妖精が、真夏の清流の中で涼しげにアイスキャンディーを頬張るというギャップ感が、何とも言えない愛嬌を醸し出してくれます。
頭上からは強い夏の日差しが照りつけ、木々の隙間からこぼれ落ちる木漏れ日が水面にキラキラと反射していました。この光線環境を味方につけるため、葉の影が適度に遮ってくれる水辺のポイントを丹念に選び、顔立ちに柔らかく透明感のある光が回るよう工夫。水面の照り返しも画面全体の瑞々しさを底上げしてくれたため、レタッチの現像工程では豊かな森の緑と波紋が描くシアンブルーの階調を大切に残し、清涼感に満ちた自然の空気感を際立たせました。
事前の準備から撮影の完遂に至るまで、冷たい水の中に数時間立ち続ける体力勝負のセッションでしたが、完成した写真群に弾け飛ぶ水しぶき、スカートの美しいプリーツ、そして七色に煌めく羽根の光沢が完璧に定格されているのを目にした時、胸いっぱいの充実感に満たされました。コスプレとは単に衣装を着てポーズを取るだけでなく、そのキャラクターが持つ夏ならではの爽やかな生命力を三次元に解き放つことなのだと、改めて実感した大切な撮影となりました。