今回の撮影は、寒色系の光と影の陰影感、そして画面全体の澄み切った透明感を引き出すことに主眼を置きました。『鳴潮』清宵の青と白を基調とした衣装に寄り添うため、夜間スタジオに満月と発光する花々をあしらった本格的なセットを構築。淡い青の燐光を放つ長剣は光を透過する特殊素材で仕立てられており、サイドからのアイスブルーの補助光と相まって、美しいエッジライトの輝きを放ってくれました。冒頭の「これぞ一人の剣にあらず、衆生の剣なり」という言葉から、思わず韓立の大庚剣陣の勇姿が頭をよぎり撮影中に吹き出しそうになりましたが、すぐに気持ちを切り替えて凛とした清冷な仙子の佇まいに戻しました。
衣装のディテールは非常に重厚で、胸元の金属パイピングや翡翠のペンダント、両脇から流れる透け感のある薄紗の水袖がレンズ越しに上質な風合いを見せてくれます。凛とした立ち姿を維持するため、白のストッキングと太ヒールのメリージェーンを履いた後は、画角に合わせて常に重心のバランスを微調整しました。3枚目と4枚目の枯れ木に腰掛けるポーズは一見穏やかに見えますが、実際には体幹の筋力がシビアに試される姿勢でした。カメラマンさんはソニーα7 Vに24-70mmと70-200mmのレンズを使い分け、最も美しい天使の輪のような髪のハイライトを捉えるため、ライティングの角度を何度も調整してくれました。手にした黒い小鉢とゆったりとした大きな袖の広がりが、修仙者がお茶を嗜むような優雅な余白を漂わせています。
こうしたファンタジー系の古風コスプレにおいて、最も難しいのは静止した構図の中に生き生きとした呼吸感を宿すことです。片手で剣を一閃する所作も、背中に剣を回して印を結ぶ仕草も、手首と肩の力加減を絶妙にコントロールしなければ動作が硬く見えてしまいます。深い夜空に浮かぶ巨大な満月、逆光を浴びて半透明に透き通る白い花びらなど、今回のセットと照明設計には心から満足しています。足元の水たまりや散りばめられた毛筆の書画も、情景の物語性を高めるためにこだわった演出です。体力と連携が試される撮影でしたが、光と影、そして色彩が完璧に溶け合った仕上がりを目にし、二次元のキャラクターを立体へと具現化する創作の醍醐味を改めて深く実感しました。