7月のFirefly ACG Expoで撮影したイベント写真をようやくお届けできます。最近は仕事に追われて投稿が遅くなってしまい、まさに「温め直した残りご飯」のようなタイミングになってしまいました。今回表現したのは『原神』ファデュイ執行官の「傀儡」ことサンドローネです。ファンの間では「猫人形」という愛称で親しまれていることもあり、撮影中はそのニュアンスに寄り添い、アンニュイな気だるげさと冷涼な距離感、そしてかすかな愛らしさが同居する空気感を意識しました。
衣装面では、驚くほど細やかなギミックが凝縮されています。背中に背負うゼンマイ歯車、腰回りの金属装飾、幾重にも重なる袖のプリーツ、そして大きく広がるベルスリーブが、身に纏った際に独特の心地よい包容感をもたらしてくれます。オフショルダーとハイネックの組み合わせは少し動くだけで位置がズレやすいため、シルエットを美しく維持できるようインナーでしっかりと固定しました。ウィッグには柔らかなライトフラックスを選び、ぱっつん前髪とサイドの後れ毛を整えてフェイスラインをシャープに補正。黒・赤・金の衣装配色に合わせ、瞳にはブルーのカラコンを選定し、目尻の赤みとチークのぼかしを深めに入れることで、無機質な人形少女の気品を際立たせました。首元の黒いチョーカーと赤い宝石のアクセントが全体の魂となり、深紅のサテングローブをはめた瞬間、人前に姿を見せずすべてを掌の上で操るような冷徹な世界観が立ち上がりました。
今回の撮影をご担当いただいた死魚先生とのセッションは、まさに至福のひとときでした。死魚先生の光と影の捉え方は圧巻の一言に尽きます。イベント会場特有の乱れた環境光や混雑した背景も、大口径レンズの柔らかなボケ味によって美しい円形玉ボケへと昇華され、極めてクリアでありながら幻想的な情緒を纏わせてくれました。何より感動したのは、死魚先生の施すフェイスレタッチの圧倒的な美しさです!普段は自分で時間をかけて輪郭補正を行っていますが、今回はすべてお任せでき、肌のキメ細やかな質感を残しながら顔立ちを極めて端正に仕上げてくださいました。自分で顔をレタッチしなくてよい快適さは、今回の撮影における最高の贅沢でした。
ポージングにおいては、猫人形が秘めるわずかな機械的な硬さと有機的なしなやかさを再現すべく、胸の前で両手をクロスさせたり指先を繊細に触れ合わせたりと、手元の所作を模索しました。重厚な衣装とグローブによって動作は大きく制限されましたが、その不自由さこそが、硬質さとエレガンスが織りなす人形特有の造形美を際立たせてくれました。モニターに映し出された完成カットを目にした瞬間、重い衣装を纏って汗だくになりながら会場を歩き回り、髪飾りを直した苦労のすべてが心地よい喜びに変わりました。
『原神』におけるファデュイのキャラクターは設定そのものが強烈な求心力を秘めており、サンドローネのようなクラシカルなオートマタ要素を宿したデザインは格別の魅力を放っています。イベント写真でありながらここまでの完成度を形作れたのは、カメラマンさんの卓越した構図美と丁寧なレタッチ、そしてキャラクターへの解釈があってこそです。今後もヘアメイクと表現力をさらに磨き上げていきますので、この猫人形の写真を愛していただければ幸いです。