本日の山田リョウの写真は、とことん「気負わない自然体」をテーマにしました。『ぼっち・ざ・ろっく!』に登場する、いつもポーカーフェイスなのに内心は豊かなあのベーシストが大好きで、たとえ夜のマンション下で手軽に撮るスナップであっても、彼女の真髄だけはしっかり捉えたいと思って臨みました。
まずは衣装のスタイリングから。ゆったりとしたオーバーサイズ感のある白い半袖シャツにネイビーの細リボンを合わせた王道の制服スタイルです。視覚的な奥行きを持たせるため、インナーに黒の長袖カットソーをレイヤード。ボトムスにはネイビーのプリーツスカートと黒ストッキング(タイツ)を合わせることで、アニメの設定を忠実に再現しつつ、夜間の低照度下でも白・黒・青の鮮烈なコントラストによって被写体が闇に沈まず引き立つように工夫しました。
そしてトレードマークの青髪について。山田リョウのヘアスタイルは一見シンプルに見えて、実はセットがかなり繊細です。前髪の厚み、フェイスラインを包むもみあげ、そして後ろの小さな結び目まで、毛量を一層ずつ梳いて調整。頭皮にペタッと張り付かないよう適度なふんわり感と毛流れを残すことで、青いヘルメットのように見えず、カメラの前でも立体的に映えるように仕上げました。
小道具には、実際にベースがすっぽり入る大型の黒いギグバッグ(楽器ケース)を背負いました。このバッグが本当に重く、単なる小道具にとどまらず「姿勢矯正器」のような役割を果たしてくれました。重量に引っ張られて自然と少し背中が丸まり、身体がわずかに傾くことで、金欠でちょっとクズっぽく、けれどどこまでも脱力しているリョウならではの佇まいに自然と近づくことができました。
撮影時は大げさな表情をあえて封印し、瞳にはかすかなアンニュイさと距離感を宿し、片手で黒い太いショルダーストラップを軽く握って、地下のライブハウスで練習を終えて家路につく普通の女子高生のような空気感を意識しました。マンション下の赤褐色の舗道や街灯は日常感に満ちていますが、単なる記念写真に見えないよう、友人に大口径レンズで背景の街路樹や駐車車両をとろけるようにボカしてもらい、左側の街灯の光だけをサイドからの逆光(エッジライト)として活かして髪の輪郭や横顔のラインを浮かび上がらせました。これによって一気に映画のような情緒が立ち込めます。
このキャラクターを表現する際、雑草を食べたり借金を踏み倒したりするコミカルな一面が強調されがちですが、私はむしろ「音楽へのストイックな執着と、世俗のあれこれへの無頓着さ」という彼女の本質を表現したいと思いました。スナップのようなラフな撮影ではありましたが、街灯の位置を探り、身体の重心の傾きを微調整するのにはかなりのこだわりを注ぎ込んでいます。黒ストッキングの質感は夜の街灯の下だとテカリやすいため、正面からの直射光を避け、周囲の環境光による柔らかな反射光で質感を捉えることで、脚のラインを自然ですらりと見せることができました。ウィッグのナチュラルな毛流れから、重い楽器バッグに引かれたわずかな傾ぎ姿勢に至るまで、ベーシストの日常のリアルな空気感を余すところなく落とし込めた一枚です。