紫陽花が咲き誇る季節を選んで『東方Project』の矢田寺成美の撮影を行ったのは、お地蔵様(地蔵菩薩)というキャラクターの民俗的な背景設定に寄り添うためでした。最推しは四季映姫で、地蔵組のカップリングをきっかけに成美のことも大好きになりました。日本の民俗学や伝承文化に昔から深い関心があり、民話に寄り添うお地蔵様の素朴な温かさに惹かれていたことが、今回の撮影の大きな出発点となっています。成美は設定としての掘り下げがいがまだまだある魅力的なキャラクターなので、今後の公式展開でも出番が増えてほしいと願っています。
ロケーションには風情ある日本庭園を選び、足元には満開の紫陽花が彩る石段、傍らには赤い頭巾と前掛けを着けたお地蔵様の石像が並び、今回のテーマに完璧に調和しました。衣装は赤とグレーの中華風(漢服)テイストを取り入れ、赤いストッキング(赤タイツ)に下駄をセレクト。手には長い錫杖(杖)を持ち、筆文字が書かれた大きな編み笠を被ることで、衣装の赤がお地蔵様の前掛けと見事に共鳴し合いました。
撮影で最も苦労したのは小道具の安定感でした。幅広の編み笠は花道を進む際に風や動きで傾きやすく、自然な歩行の構図を捉えるために何度も微調整を重ねました。木漏れ日が落とす柔らかな木陰のテクスチャが、光を浴びた赤いストッキングの質感を引き立て、静謐で趣深い民俗写真の空気感を醸し出しています。今後は冬の厳しい寒さの中で、雪景色の地蔵修行をテーマにした撮影も計画中。澄んだ雪の光と赤い衣装の鮮烈なコントラストを表現できればと思っています。自然光と石段の美しい陰影を丁寧に切り取った、心に残る特別な撮影体験となりました。