拾ったタクシーの車高が本当に低すぎて、乗り込んだ瞬間にウィッグが直接天井に突っかかってしまい、首を全く伸ばせないまま縮こまって一連の写真を撮り終えました。乗車前にあの獣耳のカチューシャを装着していなくて本当に良かったです。さもないと、この天井の高さでは終始窓際に首を傾けているハメになっていたところでした。
この衣装は実は昨年購入していたもので、当時はシルエットやディテールがすごく気に入っていたのですが、色々と忙しくてなかなか撮影のタイミングを作れずに放置していました。今年ようやく引っ張り出し、「絶対にチャンスを作って撮影するぞ」と思っていたものの、スケジュールが詰まりすぎて出発が夕方になってしまい、結局タクシーに乗って路上でサクッと記録するしかありませんでした。
上半身の黒いトップスは素材の質感が非常に高く、表面に微かな光沢があり、車内の環境光の下で明確な立体感が浮かび上がります。襟元と胸元の白いベース地には折り角デザインが施され、そこに向かって目を引く赤い宝石パーツがいくつかあしらわれており、交差する金属チェーンと相まって、タクティカルベストのシャープさと衣装本来の華やかなビジュアル効果を兼ね備えています。首元のカーキ色のハイネックネックガードと後ろのビーズネックレスが絶妙な視覚的誘導となり、衣装全体の重みを自然と上半身へと引き寄せています。
このふんわりとしつつ無造作感のあるロングの金髪を表現するため、ウィッグのスタイリング技術がかなり試されました。前髪と両サイドの毛先をシャープに処理し、明確なレイヤーを作ったおかげで、これほど低い車内であっても頭頂部の毛先が良いアーチを描いてくれました。目にはアンバー(琥珀色)のカラコンを装着し、光の加減も手伝って瞳の色と髪色が綺麗に融合しました。アイメイクにもかなりこだわり、下まぶたの影とアイライン全体の輪郭を強調することで、光の複雑な環境下でも視線の目力が損なわれないようにしました。
車内という環境は撮影上の制約が多いものの、臨時の「スタジオ」としては実はメリットもあります。左側の車窓から差し込む自然光が非常に柔らかく、顔や金属チェーンに当たるハイライトが絶妙で、不自然なスタジオ撮影感がありません。アングルを少し下げて煽り(ローアングル)で撮ることで、車内の雑多なディテールを上手く回避し、人物の表情や上半身のシルエットだけにスポットを当てることができます。
『アークナイツ』の推進之王(シージ)の異格コスプレという設定のため、獣特有のニュアンスと騎士としての王者を兼ね備える必要がありました。余計な耳飾りをつけず、ウィッグ上部の2つのふんわりとした毛束だけでその雰囲気に近づけるよう努力しました。表情が硬くなりすぎないよう、ネコ科動物特有のさりげない自信感を意識しています。車内で小さくなっての撮影は少し息苦しかったですが、そのおかげでスナップ写真に気取らないナチュラルな雰囲気が加わりました。
今回のウィッグと衣装のセットアップにも1時間近くかかりましたが、仕上がった写真を見て、昨年の衝動買いによる情熱は無駄ではなかったと実感しています。コスプレ撮影自体が「苦しくも楽しい」プロセスであり、毎回のスタイリングの苦労や最終的な写真の仕上がりはすべて特別な体験です。このヴィーナ・ヴィクトリア コスプレのスタイリングは今後もさらに撮影する予定で、次回はより適した開放的な屋外ロケーションを見つけ、この衣装の完全な魅力を引き続き表現できればと思っています。