今回の屋外撮影は、桜が満開を迎えた和風庭園で行いました。この衣装を初めて目にした時、春のロケーション撮影にぴったりだと直感しました。特に緋色のベースに桜のグラデーションが施されたデザインは、本物の桜と対比させることで素晴らしいレイヤー感(立体感)を醸し出してくれます。
衣装面では、上半身の羽織部分にホワイトからピンクへのグラデーションを採用し、散りばめられた桜の柄がプリントされています。襟元の繊細なレースのディテールと、ブラックのチョーカーが控えめな上品さを添えています。ボトムスには同系統の緋色の上品な幅広袴(はかま)を合わせ、腰元には同色の帯を結びました。落ち感(ドレープ感)の良い生地で、微風になびくと美しいプリーツと動感が生まれます。背中の黒いレイヤードの翼はこのスタイリングの中で最もボリュームのあるパーツで、重さもそれなりにあります。撮影時に自然に広げるため、内側に隠しストラップを仕込んで多重固定しました。この翼は振り向きや横を向いた際に重心のバランスをしっかりと保ち、後ろ姿のシルエットをより豊かに見せてくれます。頭のピンクのヘイロー(光輪)プロップ(小道具)は細いヘアピンで丁寧に固定し、両サイドの黒い羽飾りも風で倒れないよう常に角度を微調整しました。
撮影当日は見事な快晴で、木の枝の隙間から差し込む光が地面や木製デッキの上に斑駁(はんばく)とした光影を描いていました。生き生きとした自然な表情をキャプチャーするため、カメラマンと幾度もスナップ撮影(動的キャプチャー)を試みました。2枚目の片足で振り返るポーズは一見楽そうに見えますが、体幹(コア)をしっかりコントロールしてバランスを保つ必要があり、表情も引きつらないよう配慮が要ります。撮影中、桜の花片が羽織の上に舞い落ちてくることが度々あり、こうしたリアルな環境とのインタラクションはスタジオ撮影では決して代替できない魅力です。赤い木製階段、小ぶりの赤い灯籠、そして趣のある石積みの護岸や木橋がロケーションに生活感(リアルな空気感)を与え、その中を散策する姿は型にハマったポージング以上に生き生きとした二次元撮影作品となります。
動的なキャプチャーに加え、静かに座って花を手にするカットも非常に雰囲気のある写真となりました。ただ、ロケーションが開放的な公園だったため、周囲には常に通行人や観光客がおり、最初はこのような華やかな和風コスプレ装備を纏って少し照れくささもありました。しかし、作品の世界観に完全に没入するにつれて周りの視線も気にならなくなりました。衣装の裾を整える際、こうした現代風アレンジの和風衣装の長さを実感しました。裾が長いため石段を昇り降りする際は前裾を少し持ち上げる必要があり、それがキャラクター設定にある軽やかで儚げなイメージと可愛らしいギャップ(ギャップ萌え)を生んでいました。
全体の撮影は約3時間ほど続き、正午の眩しい光線から徐々に柔らかいトーンへと変化していきました。レタッチ(後処理)では極端な色調補正は行わず、暗部を少し明るくして日差しが桜を透かして届く透明感と空気感を大切にしました。当初は屋外の強い光で衣装のピンク色が白飛び(ディテール喪失)しないか心配でしたが、実際の仕上がりでは羽織表面のグラデーションの階調が綺麗に残り、自然な反射が袴の質感を一層引き立ててくれました。この季節の中に立ち、この衣装を纏うことで、まさに春の光を目の前に留めたような確かな実感を味わうことができました。