今回は『ある日、お姫様になってしまった件について』に登場するアティのクラシックなスタイリングの再現に挑戦し、ライトゴールドのふんわりとしたロングカールヘアと、ピンクと白が織りなす豪華で複雑なドレスの裾に重点を置きました。髪の毛のカーブやボリューム感を原作キャラクターに近づけるため、ウィッグは何度もカットやブロッキングを重ねました。頭上のティアラとサイドにあしらったピンクのバラの飾りは、全体を華やかに引き立てるだけでなく、このスタイリングのまさに魂です。
メイクのデザインでは、まつ毛の生き生きとした躍動感とアイシャドウの自然なグラデーションを強調し、厚化粧になってキャラクターの清らかで美しい雰囲気を損なわないように気を配りました。撮影背景には、ヨーロピアンな石造りの彫刻手すりと、雲霧が立ち込める山野の2つのシチュエーションを選びました。前者はピンクの甘ったるさを抑えてキャラクターの気品を際立たせ、後者は空の冷たいグレートーンと衣装の柔らかなピンク&ホワイトの見事なコントラストを生み出します。写真2のカットは実は強風の中で撮影されたもので、床に引きずるロングベールがあるものの、風がベールとドレスの裾をとても自然な躍動感でなびかせてくれ、逆に光が透き通る質感を思いがけず捉えることができました。もちろん、現場でリボンを整えたり、露出を避けるためにドレスの裾を押さえたりするのにはかなり苦労しましたが、このロケーションの光や遠くの山並みが織りなすレイヤー感は、この写真セットを制作する価値を十分に感じさせてくれました。
ドレスの立体的なシルエットを保つため、内側には何層にも重なるパニエを仕込みました。3層のレースの縁取りにハンドメイドのアップリケが組み合わさり、歩くたびに軽やかでしなやかに動きます。今回の撮影は、衣装や小道具の精巧なこだわりだけでなく、特定の環境下におけるキャラクターの「呼吸感」をも追求しました。素晴らしい二次元コスプレとは、単に決められたビジュアルを再現するだけでなく、キャラクターを現実世界へと連れ出す一回一回の試みなのです。