今回の撮影は真夏に行われ、階段の踊り場は空気がこもって蒸し暑かったものの、階段や廊下という日常的な空間から非日常的なビジュアルを切り取ろうと決めました。キャラクターが未来感とゲーマー気質を併せ持っているため、無機質で硬質な空間のラインがその世界観と見事に合致しました。衣装は細部まで非常に作り込まれており、テックウェア風のショート丈ジャケットに独特なグラフィックがプリントされた白いインナーを重ねる構造で、脱ぎ着だけでも一苦労でした。トレードマークのサングラスとウサ耳のヘッドセットは固定が難しく、少しうつむくだけでずり落ちてしまうため手で頻繁に押さえる必要がありましたが、それが怪我の功名となり、1枚目のメガネを押し上げるクールなポーズが生まれました。幾何学的なチョーカーや腰のベルト、太もものレッグリングはデザイン性に優れている一方、肌に跡がつきやすいため、粗が出ないよう終始気を配りました。特にグローブの手甲プレートが動作の拍子に引っかかりやすく、動きが制限されるだけでなく肌を傷つけないよう注意が必要でした。
撮影中に最も体力を削られたのは、強い緊張感を伴うダイナミックなポージングでした。例えば床に座り込んで下から煽るカットでは、片脚を前へと真っ直ぐ伸ばし、もう一方の脚を折り込んで重心を落とすことで、ローアングルから脚のラインを長く力強く見せる工夫を施しました。このラインを作るため、文字通り限界まで体をひねり続けています。さらに床に低く構えるタクティカルな動作では、戦闘の緊迫した一瞬を切り取るため、片脚だけに全身の荷重をかけながら前傾姿勢を維持し、強靭な体幹コントロールが求められました。手にした青いボトルの小道具はサイズ感こそあるものの重量自体は扱いやすかった反面、シビアなアングルでバランスを保ちつつクールな表情を崩さないのが至難の業でした。
長時間の集中力はもちろん、カメラマンさんとの綿密なアングル調整の連続でした。屋内廊下の冷ややかな光を活かすため、カメラマンさんは広角レンズを使って空間の奥行きを強調し、光の反射角を何度も検証しながら、キャラクター本来の冷徹さだけでなく閉塞感を打ち破るような力強さを追求しました。現像時のカラーグレーディングでも寒色系のパラメータを丹念に調整し、金属パーツの光沢が冷たい環境光と自然に溶け合うよう配慮して、ゲーム画面のようなサイバーパンクの質感を再現しました。「あと2レベル上げれば絶対クリアできる」という言葉は撮影の合間の冗談でしたが、ポーズを切り替えるたびにステージを攻略していくような極限の達成感こそ、コスプレの醍醐味だと感じています。無事に撮影を完遂できたのは、ファインダー越しに私の動きを的確に捉えてくれたカメラマンさんの親身なリードのおかげです。風になびく毛先や服の躍動的なドレープは加工だけで作れるものではなく、現場で何度もテイクを重ね、ミリ単位で角度を詰めた賜物です。小道具の配置や裾がなびく瞬間など、微細なこだわりの積み重ねが作品の完成度を決定づけました。非常にシャープで洗練された仕上がりとなり、チーム全員が納得できる作品となりました。