海辺の夜風は本当に想像以上にワイルドでした。今回のロケ地には防波堤を選び、日没後のブルーアワーに静けさと憂いを帯びた雰囲気を撮影しようと考えていたのですが、現地に着いてみると、海風で体が吹き飛ばされそうなほどでした。
本当に台無しになりかけました。どれほどの強風かというと、手に持った光る小道具のランタンを強く握っていないと、いつ吹き飛ばされてもおかしくないレベルでした。ウィッグも乱れに乱れ、帽子も何度も固定し直しました。風でスカートが暴れまくるのを防ぐため、膝をコンクリートの台座に押し当てて踏ん張りながら、表情をコントロールしてクールで落ち着いたキャラを演じていましたが、心の中では「助けて!」と絶叫していました。
この座っているショットは、実は風が少し弱まった瞬間や風下を向いたタイミングで捉えたものです。隣の鉄柱はひどく錆びついており、コンクリート台座の表面にも風化の痕跡が見られ、こうしたインダストリアルで歳月を感じさせる廃墟風のスタイルは、今回の海辺での撮影テーマと実にマッチしていました。このような夜に、深い青色の海水と空に向かい合い、手に温かい黄色のランタンを抱かせることで、孤独で儚い雰囲気が一瞬にして立ち上りました。
撮影工程で一番難しかったのは、光のコントロールでした。手元のランタンの明るさ調整にかなり時間を費やし、暗すぎると立体感や質感が出ず、明るすぎると白飛びして衣装本来の赤やディテールが完全に潰れてしまいます。幸いにも最終的にF値とシャッタースピードの組み合わせが絶妙に決まり、画面内の温色と冷色のコントラストが非常に明確になりました。頭上の空は深いブルーパープルで、地平線には夕焼けの残光がかすかに漂い、手元や頬の傍にある光は温かい黄色を放っています。こうした大自然の天然のカラーリングは、レタッチで再現しようとしてもなかなか及ばないものです。
この写真集の準備にあたり、赤と白が織りなす多層構造のドレスを着用するのにも相当な時間がかかりました。写真の中では静かでエレガントに見えるかもしれませんが、実際は風が吹くたびにスカートが雷のように激しく音を立ててはためき、屋外の気温の中で脚のタイツは本当に凍えそうでした。しかしカメラマンさんが非常に優秀で、カウントを合わせて強い風で顔が歪んでいない、最も自然な表情の瞬間を見事に切り取ってくれました。
撮影前は天気や環境についてかなり心配していましたが、撮影後にプレビューを確認したところ、この微かな乱れ具合がかえってリアルな生命感をもたらしていることに気づきました。ロケ現場の強風と小道具の光、遠くの海水と海岸沿いの街灯の光帯が組み合わさることで、この写真は単なる平面のポートレートにとどまらず、その瞬間の物語性を醸し出しています。紆余曲折あり台無しになりかけましたが、この写真はあの日に海辺で経験した風の音、波の音、声、そして寒さまでを画面の中にそのまま凍結させてくれました。この少し冷ややかで静けさをたたえた海辺の夜景は、キャラクター本来の孤独でありながらも強い意志を秘めた気質と見事に重なり合っていると感じます。
まずはこの完成品1枚を皆様にお届けします。まだ1枚目ですが、今回の撮影における私の感情体験のほとんどが凝縮されています。その後も様々なポーズやアングルで撮影しましたので、残りの写真をじっくり処理してから順次公開していきますね。夜の海辺の風はとても強く冷たかったですが、色彩も雰囲気も納得のいく写真を残すことができ、すべての苦労が報われたように感じます。これこそがコスプレの魅力であり、ほんの一瞬であっても、自分と想像の世界を現実の風景の中で重ね合わせることができるのだと感じさせてくれました。