新春のキサキの写真を撮影するにあたり、一番の狙いは、伝統的なお正月の雰囲気がありつつも、キャラクターの性格にぴったりな年賀イラストを表現することでした。完成した写真が届いたので、色々なディテールについて皆さんとお話ししたいと思います。まず衣装のチョイスですが、当時かなり時間をかけて選びました。最終的に決めたこの白の改良型ショート丈旗袍(チャイナドレス)は、まさに全体の主役と言えます。衣装の生地自体に繊細な光沢と地紋(暗紋)が入っており、非常に上質な質感です。フチにあしらわれた赤のパイピング処理もとても精巧で、全体のシルエットを美しく引き立てています。襟元の赤いクロスリボンや、ゆらゆらと揺れるタッセル付きの髪飾り、あるいはスカートの裾のレースが、旗袍特有の「大人っぽくなりすぎる感」を和らげ、二次元キャラクターならではの躍動感をプラスしてくれています。
特にタイツと靴の組み合わせは、スタイリング全体の神髄と言えるでしょう。黒のシアータイツ(半透明ストッキング)と白のポインテッドトゥハイヒールが、視覚的に強い色彩コントラストを生み出しています。赤・黒・白という高級感のある配色を呼応させているだけでなく、視覚的に脚のラインを最大限に長く見せ、プロポーションをよりスラリと美しく引き立ててくれます。このような黒タイツに白ヒールという合わせ方は、現実のコーディネートではかなり難易度が高いのですが、コスプレという文脈においては、キャラクター設定が持つ繊細さと少しのセクシーさを見事に再現してくれます。
小道具選びにも一工夫凝らしました。掛け軸には「新春大吉」と書かれています。この道具を使って撮影する際は、単に文字の書かれた板を持つだけでなく、キサキが持つ組織のリーダーとしての余裕や自信に満ちた佇まいを表現することを意識しました。また、琵琶(びわ)を取り入れたのは撮影中の即興のアイデアだったのですが、これが思いのほか素晴らしい効果を生んでくれました。琵琶を抱えていると、自然と心が静まり、掛け軸の持つ華やかな雰囲気と絶妙な補完関係が生まれ、インテリジェンスな気品とお祭りのような賑やかさが共存する一枚になりました。
撮影スタジオには、この古き良き中国風の畳空間を選びました。木目の質感、白のファーラグ、背景の透かし彫りの格子窓、そして垂れ下がる薄衣のカーテンが、プライベートで洗練されたお正月の雰囲気を演出してくれています。カメラマンの@阿帅阿帅Araw_ さんは、光と影の柔らかさを捉えるのが非常に上手で、自然光とディフューザー(柔光設備)を巧みに組み合わせ、白い旗袍の地纹をうっすらと浮かび上がらせ、黒タイツにも綺麗な光沢感を与えてくれました。撮影はとてもスムーズに進み、すぐに世界観に入り込むことができました。
良いコスプレ写真というのは、単にキャラクターの外見を真似るだけでなく、その魂を捉えることだと常々思っています。新春のキサキに対する私のイメージは、冷徹なビジネス戦略の凄みと、先生(Sensei)に対する付かず離れずの優しさを併せ持っているというものです。そのため、撮影時はこの多面的な魅力をポーズや視線に込めるよう意識しました。真っ赤な対聯(ついれん)を手にしているときも、琵琶を抱えて静かに座っているときも、見てくださる方に「キサキが本当にそこにいる」と感じてもらえるよう努めました。コスプレを長年続けてきましたが、キャラクターへの理解が深まるほど、レンズの前でより自信を持って表現できるようになります。
旧正月のめでたい雰囲気と、一目でそれと分かる国風(チャイナスタイル)の造形が融合し、皆さんに視覚的な満足感を届けられれば幸いです。過度なレタッチ(後加工)はせず、リアルな衣装・メイク・小道具のクオリティと、光影がもたらす空気感を大切にしました。新年の一番の素晴らしい祝福をこれらの写真に込めています。心を込めて作り上げた作品は、自分で見返しても非常に満足感があります。皆さんがこの二次元の映像を楽しみながら、伝統と現代が融合した美しさを感じていただければ嬉しいです。