今回の撮影テーマは概要に書いた通りの「夏の自宅日常」で、『小林さんちのメイドラゴン』のカンナ(カンナ コスプレ)らしく蝉時雨の聞こえる夏の日、食卓の傍らに座るあのアンニュイな空気感を再現することでした。以前多くの方から「キャラクター独特のフワフワと柔らかく愛らしい雰囲気をどう撮影するか」と聞かれましたが、一番大切なのはリラックスすることであり、決して作り込みすぎないことです。
まずはスタイリングのディテールから。ウィッグは薄紫からブルーへのグラデーションで毛先がほんのりピンクがかかったものをチョイスし、キャラクターの毛先のトーンと統一するため、ほぐしてブラッシングするだけでもかなりの時間を費やしました。頭頂部の2つの白い角のアクセサリーと黒いリボンカチューシャが頭部スタイリングの核となります。衣装はあの白いフワフワのケープ(羊羔絨の質感)で、縁にはピンクの切替と黒の幾何学模様(ギリシャ雷文)が施されています。インナーのピンクのフリル袖が良いアクセント(クッション)となり、上半身がシンプルになりすぎるのを防いでくれます。夏場にこれほど厚手のボアケープを着るのは少々蒸し暑いですが、設定通りの保温感ある外観を守るためには耐えるしかなく、これもコスプレの日常(二次元日常)の醍醐味と言えます。
小道具の準備においては、青と白のストライプ柄の陶器の碗と木製のお箸をセレクト。この配色はとても爽やかで、毎日の食事というテーマに非常によくマッチします。1枚目の写真でお箸で持ち上げている細長い黒い小道具は、実は撮影時に意図的に仕込んだ小さなインタラクションで、「変なものを捕まえた」というお茶目な面白さを演出したかったのですが、手元の安定感が強く求められ、少しでもブレると嘘っぽくなってしまいます。撮影時は角度を何度も調整し、箸先と挟んだ物体の構造が唐突に見えないよう配慮しました。4枚目の写真には薄紫のポンポン(毛玉)も加え、テーブルの上にさりげなく置くことで画面の色彩を豊かにし、同時にボアケープの質感と視覚的な響き合いを生み出しています。
今回の自宅撮影のロケーションには、光がたっぷり差し込むお部屋を選び、背景には薄緑色のタイル壁、左側にはビンや缶が置かれた木製の棚、右側には木製のダイニングチェアを配置。ダイニング全体のセットが非常にリアルな生活感を漂わせています。光線に関しては、ストロボを直打ちするのではなく、窓から拡散して入ってくる自然光を利用し、人物の正面に白いレフ板を置いて補光しました。これにより顔の光が非常にクリーンで柔らかくなり、瞳のハイライトも自然で、装着したブルーのカラコンがより透明感と輝きを増して見えます。撮影機材はフルサイズ一眼レフに大口径レンズを組み合わせて使用したため、写真全体として前後のボケ味がしっかり効いたとろけるような質感となり、人物被写体が非常に引き立っています。
2枚目の写真は両手でお箸を握って胸の前に置いたポーズで、こちらは比較的つつましく、レンズを直視する目元と合わさって、生真面目ながらも少し天然で愛くるしい質感を伝えています。そして私が最も気に入っているのは、カバー写真(サムネイル)として使っている3枚目です。長時間の撮影で腕が少し疲れてきたため、肘をテーブルにつき、両手で頬杖をついて自然にリラックスした瞬間をカメラマンが捉えてくれました。このアングルはケープのリボンディテールや袖口のフリルレイヤーがちょうど美しく映えます。大きな動きのない静的な構図だからこそ、目元の情緒表現が試されるのですが、微かに上がった口角と澄んだ眼差しが、静かにご飯を食べるあの日常の雰囲気を完璧に作り出してくれました。
後処理のレタッチでは複雑な修飾は控え、ホワイトバランスを整えて肌色をより白く透明感あるトーンに統一し、同時にニットの白色部分をほんのり明るくして画面全体を明るくクリーンに仕上げました。コスプレ本編において、必ずしも壮大なロケーションや派手なアクションが必要というわけではありません。普通の生活環境(自宅撮影)の中で、小道具を使ってささやかなインタラクションを構築し、適切な光線とメイク・スタイリングを合わせるだけで、キャラクター固有の魅力をしっかり伝えることができます。私がこの写真集を通して表現したかったのは、特定の劇的名シーンを無理に再現することではなく、このような気まま、自然体で原作設定に近い日常感であり、これを見た皆様にもリラックスした気持ちを感じていただければ幸いです。