今回の撮影は徹底した原作再現を指針とし、ヘアメイクから構図の設計に至るまで、藍原芽衣特有の「人を寄せ付けない冷たさの中に潜む優しさ」を表現することを目指しました。キャラクター性に寄り添うため、メイクでは長めに引いたシャープなアイラインを強調し、艶やかな黒髪ロングと深緑のベストを合わせることで、凛とした生徒会長らしい先輩の気品を引き立てました。ロケーションには屋外を選定。降り注ぐ豊かな日差し、地面の照り返し、そして背後に広がる青空が、画面全体に澄み渡るような透明感をもたらしてくれました。相方が務める藍原柚子コスプレが地面に座ってひと休みしているところへ、私がペットボトルの水を軽く身をかがめて手渡すという構図は、極めて自然体な物語性を生み出してくれました。
実際の撮影現場は見た目以上に過酷で、当日はかなりの猛暑の中、黒ストッキングと制服スカートを身に着けて屋外を歩き回るのは非常に蒸し暑く、強烈な直射日光によって顔に濃い影が落ちやすかったため、木陰を求めて立ち位置を絶えず微調整し続けました。それでも、黒ストッキングに茶色のローファー、そしてプリーツスカートを合わせたクラシカルな学園制服の組み合わせは写真映えが抜群で、このコスプレ日常の情景を演じる上で最高のアクセントとなってくれました。
今回の撮影を通じて、キャラクターへの理解も一段と深まりました。芽衣の感情は決して表層的ではなく、水を差し出す際の冷ややかな眼差しの裏にある微かな気遣いなど、細やかな身体の角度や所作を通じて伝える必要がありました。カメラマンさんも建物の直線的なラインを巧みに活かして構図を整理してくれたため、被写体の存在感が画面の中で埋もれることなく美しく際立ちました。スカートのプリーツを美しく保つため撮影の合間にもこまめにシワを伸ばし、表情も極力原作のニュアンスに近づけました。長時間の撮影で体力は使いましたが、仕上がった作品には心から満足しており、相方との息の合ったコンビネーションによって『citrus』における二人の繊細な関係性を忠実に再現することができました。