今回のナヒーダの撮影は、普段との「ギャップ感」をテーマにしました。いつもなら知略をめぐらせる知恵の神様が、今日は神様としての威厳をすっかり脱ぎ捨てて、ちょっぴりポンコツで愛らしい草神ちゃんに変身。小道具チームが用意してくれた特大の緑のぬいぐるみは、この日最大の難関でした。見た目以上にずっしりと重く、起伏のある芝生の斜面では優雅にお座りポーズをキープするだけでも一苦労。ベストなアングルを探すために草むらの中にずっとしゃがみ込み、虫刺されとも戦いながらの撮影でした。
まずはスタイリングのこだわりから。エルフ耳の装着には並々ならぬ根気が必要でした。フェイスラインの境目を自然に見せるため、スキンワックスと専用接着剤で念入りにグラデーション処理を行い、横顔を撮影した際にも違和感なくフェイスラインと馴染むよう、耳先のカーブをミリ単位で微調整しました。ウィッグの毛先のグリーングラデーションは、ヘアアイロンで内巻きに巻き直してふんわりとしたボリューム感をプラス。頭頂部の緑の葉とゴールドが織りなす髪飾りと合わさることで、立体的で豊かなレイヤードが生まれました。アイメイクはグレーグリーンのカラーコンタクトが魂のキーアイテム。繊細なアイラインと下まつげの描き込みで瞳を大きく見せつつ、ナヒーダ特有のあどけない少女感をしっかりと残しました。衣装の襟元にあしらわれた白いレースフリルも、シワで画面の質感が落ちないよう撮影前にスチームアイロンで丁寧に整えました。
実際の撮影現場は予想外のハプニングと笑顔の連続でした。芝生の上で構図を探しながら、何気ないあどけない表情を狙ったのですが、屋外の陽射しが眩しく、表情筋のコントロールを少しでも緩めると不自然になってしまいます。一番笑ってしまったのは、ちょっと不満そうに口を尖らせたカット。実はぬいぐるみが重すぎて腕から滑り落ちそうになり、思わず咄嗟に出てしまったリアルなリアクションだったのですが、カメラが見事にその瞬間を捉え、あの有名な「知恵の分析中」ミーム画像と完全に一致!まさに怪我の功名で、「真の知恵の神に知恵などあるはずがない」というコンセプトに完璧にハマりました。
その後、ツタに覆われた半円形の木製ドアがあるファンタジー感あふれる建物の前に移動し、岩の上に腰掛けて浅瀬の足元で撮影を続けました。絵本のようにメルヘンなロケーションで、澄んだ水面の映り込みが衣装のアイコニックなグリーンの文様を美しく引き立ててくれました。ここでも「おとぼけ設定」に合わせて、レンズに向かってぽかんと呆けたり不思議そうに見つめたりする表情に挑戦。屋外ロケは体力が試されます。風が吹くたびにウィッグが顔に張り付き、そのたびに小さな手鏡で前髪を直したり、パウダーで鼻先のテカリを抑えたりと大忙しでした。グリーンの衣装にあしらわれたゴールドのパイピングは、自然光を浴びて非常に上品な光沢を放ちます。終始ぎこちない動きで、大きなぬいぐるみが坂を転がり落ちないよう必死に抱えながらの撮影でしたが、このコミカルで温かい日常感のおかげで、普段の神秘的な姿とは一味違うナヒーダの愛らしさを引き出すことができ、とても楽しく貴重な撮影体験となりました。