サンドローネのこの衣装は、息をのむほど細部にまでこだわりが詰め込まれています。濃紺・純白・ワインレッドの3色が織りなす切り替え仕立てで、オフショルダーのカッティングに襟元のメタリックなパイピングと真紅のルビーパーツが重なり、重厚な立体感を生み出しています。衣装の美しいフォルムを崩さないよう内側に芯地やボーンを仕込んでいるため、着用時のウエストや肩周りの固定には相応の時間を費やしました。ウィッグはぱっつん前髪と両サイドの長い鬢(びん)を丁寧に整え、澄んだブルーのカラーコンタクトと赤みのあるアイメイクを合わせることで、『原神』に登場する精緻でありながら温もりのない傀儡(マリオネット)特有の質感を極限まで追求しました。
今回の上海での撮影ロケーションには、重厚なヴィンテージ風の書斎を選びました。大きな木製の本棚やアンティークの柱時計、年季の入った木の机など、空間全体がキャラクターの世界観と見事に呼応してくれました。手元に携えた金色の唐草模様が入ったティーカップは特別に用意した小道具で、キヤノンのカメラレンズを通じて暖かな琥珀色のサイド逆光を浴びることで、極めて上質な質感を醸し出してくれました。撮影時のライティング位置は非常に緻密に計算されており、サイドからの光が衣装の縁を彩る金色のラインを美しく照らし出しつつ、深みのあるダークトーンの背景の中から主役の存在感をくっきりと浮かび上がらせています。
ポージングの設計では、衣装のカッティングと全身のしなやかなラインを際立たせるため、多彩な座りポーズを試みました。木製デスクの上に腰掛けて片脚を持ち上げたり、優雅に脚を組んだりすることで、白ストッキング(ストッキング)とスカートの重なりを美しく演出。ティーカップを手にして机の前に佇む仕草や、絨毯の上に直接座り込むカットでは、静けさに満ちた落ち着いた空気感を紡ぎ出しました。傀儡という設定上、過度に感情を露わにした表情は禁物で、瞳には常にどこか浮世離れした虚ろな静謐さを宿す必要があります。そのため撮影中は表情筋を厳密にコントロールし、視線のわずかな揺らぎだけで感情を伝えるよう意識を研ぎ澄ませました。
実のところ、この衣装の視覚的な重心は上半身の金属パーツとスカートのボリューミーなシルエットにあります。背面に流れるオレンジのリボンや裾のダークカラーのプリーツフリルは、歩行や体勢の切り替えのたびに形が崩れやすいため、1つのアングルを撮り終えるごとに細やかに整え直す根気が求められました。白タイツの張り具合にも常に気を配り、余計なシワが寄って画面の品格を損なわないよう細心の注意を払いました。
当日の上海は素晴らしい晴天に恵まれ、書斎の窓から差し込む柔らかな陽光が画面全体に温もりある階調を添えてくれました。カメラマンさんとの事前のライティングの打ち合わせから、現場での衣装ディテールの微調整に至るまで、制作プロセスは体力的にも集中力を要するものでしたが、完成した写真を目にした瞬間、すべての準備が報われたと実感しました。この作品を通じて、サンドローネが秘めるまた違った魅力的な一面を皆さんに感じていただければ幸いです。