今回の中秋節をテーマにした撮影企画では、パートナーと共に『アークナイツ』のシュウ(黍)とジエ(頡)の合わせに挑みました。節句の団欒の空気に寄り添うべく、スタジオには巨大な満月のバックボードを特設し、クラシカルな木製家具と床一面に敷き詰めたもふもふのファーマットを配置。静謐で温かみのある秋夜の逢瀬を表現しました。
まずはシュウのスタイリングから。ウィッグはゴールドをベースに鮮烈なシアンブルーのインナーカラーを差し込んだ仕様で、前髪やサイドの毛束を何層にも分けてハードスプレーで立体的に固定。頭頂部に掲げる白と青の角(ツノ)飾りはヘアピンと透明ストラップを駆使してウィッグの土台にマウントし、頭皮に自然に沿うようベースの厚みを丹念に調整しました。衣装のディテールは目を見張るほど緻密で、白と青を基調としたオフショルダーのデザインです。胸元の金属バックル、青いクロスリボン、腕に巻いた金糸の飾り結びやパールの数珠ブレスレットに至るまで、装着時にひとつひとつ位置を微調整しながら留め具を締めました。肩を大胆に出したカッティングのため、大きな所作を行う際は布地のズレや不自然なシワが生じないよう常に注意が必要でした。腰元を彩る暖色オレンジの切り替えとフェザータッセルは衣装全体のアイキャッチであり、サイドからのアングルを意識することでその豊かな階調美を鮮明に際立たせました。
撮影当日は体幹と体力の粘り強さが試される一日となりました。床一面に柔らかなラグが敷き詰められているため、座り姿や横たわるポーズが多く、身体のバランスをキープしながらスカートの広がりや大きな袖のアーチを美しく整え続ける必要がありました。例えば白い蝋燭を手にするソロカット(画像4)では、背後の巨大な満月が放つ冷涼な光と手前からの温かなアンバー光を調和させるため、背筋をピンと伸ばした端正な正座を維持。両手で蝋燭を捧げ持ち、強い光線の中でも瞬きを抑えて静謐で澄んだ眼差しをキープしました。2人の合わせカット(画像1・2)では、パートナーとの呼吸のすり合わせを徹底。床に座って立ち姿のジエを静かに見上げるカット(画像1)では、お互いの衣装の金属パーツが引っかからないよう絶妙な間合いを維持しました。手を繋ぎ合うカット(画像2)でも、衣装の袖幅が広大であるため、身体の角度がわずかに傾くだけでお互いのプロポーションを覆い隠して画面が窮屈に見えてしまうことから、ベストな角度を何度も探り直しました。
カメラマンさんのライティング技術は極めて卓越しており、寒色系の神秘的な陰影を保ちながら顔まわりの透明感を綺麗に浮き立たせるため、照明の位置をミリ単位で何度も調整してくださいました。衣装の金属パーツやパールが強い光を反射しやすいため、不自然な白飛びやギラつきを防ぐべく、カットごとにモニター前へ駆け寄って光の明暗比を入念にチェックしました。
このコスプレに挑んだ原点は、キャラクターへの尽きない愛はもちろんのこと、中秋節という特別な節目に大切なパートナーと共にかけがえのない記憶を写真に残したかったからです。衣装や小道具の準備は緻密を極めましたが、光と影が織りなす息をのむような美しい仕上がりを目にした瞬間、すべての苦労が報われたと心から実感しています。