今回のヒンデンブルクのスタイリングは、キャラクターの決定からスタジオ撮影にいたるまでのプロセスが実はかなり早くから決まっていました。事前にラバーペイントやレザー系の素材をたくさん用意していたおかげで、今回の衣装の革の質感や光沢感の再現は比較的スムーズに進みました。エナメル特有のあの独特な光沢が、赤と黒のメインカラーの中でキャラクターの不敵で挑戦的な気品を格好よく引き立ててくれます。
カメラマンさんが今回は趣向を凝らして2つのシチュエーションを組んでくれました。ワインキャビネットを背景にしたアオリ(仰拍)のカットは、キャラクターの余裕たっぷりでリラックスした空気感を表現しつつ、翼や角のシルエットを綺麗に見せるためのものです。一方、チェーンを背景にしたカットは「契約」や「束縛」といったダークな雰囲気にぴったりで、手にしたムチの小道具も相まって、スタジオセットと世界観の設定が抜群に調和していました。コスプレが表現するものは、単に同じ衣装を着ることだけではなく、身体の動きや表情を通じてキャラクター本来が持つオーラにどれだけシンクロできるかが重要だと考えています。
撮影当日はちょっとしたハプニングもありました。ロングの赤髪ウィッグが強い光の下で非常に白飛び(過曝)しやすく、髪の毛の反射にレイヤー感を持たせるためには、カメラマンによる精密な調光が必要不可欠でした。ライティングの角度を何度も調整し、赤の彩度を程よく抑えることで、ようやく髪の毛にプラスチック感を覚えさせない上質な質感を持たせることができました。撮影全体としてはハードでしたが、最後にカメラのプレビューを確認した時はすべてが報われたと感じました。また、ハイヒールと黒ストッキングの組み合わせもこのスタイリングにおける核心的なビジュアルアンカーとなっており、シルエットを美しく引き締めつつ、赤髪コスプレに相応しい鋭利な印象を添えてくれます。
機材調整の合間にも、鏡の前で翼の位置を何度も微調整し、レンズを通した時に角度に違和感が出ないよう細心の注意を払いました。今回のクオリティ重視のコスプレ撮影は、自分にとっても異なる表現スタイルに挑戦する素晴らしい経験値(蓄積)になりました。