今回の夜桜撮影におけるライティングでは、片側からのハイコントラストな光影を試し、下方向からの冷色ライトの照射を組み合わせて浮遊感を演出しました。暗い背景の中で白いレースドレスとピンクの髪が鮮烈なコントラストを描き、期待通りの上質な質感が得られました。2枚目をメインの完成写真に選んだのは、撮影時に意図的に扇子を回し、片足に重心を乗せることで、スカートの広がりと脚のプロポーションをより美しく引き出せたからです。赤黒の扇子は手に持つとずっしりとした重みがあり、亡霊ならではの漂うような儚い佇まいを表現するため、極力所作をゆっくりと抑え、スモークマシンを活用して画面に幻想的な奥行きを持たせました。
レタッチでは主に環境光の色温度を調整し、シャドウ部の彩度を抑えて全体を冷色系の光と影で統一することで、夜桜の静けさと幽玄さをより一層際立たせました。衣装の胸元や袖口のレースは非常に繊細で着脱に時間を要したものの、仕上がった髪の自然な光の反射はとても美しいものとなりました。現場では桜の枝ぶりと調和する立ち位置を探すのに苦労し、夜の冷たい強風と冷え込みに耐えるハードな環境でしたが、その寒さこそがキャラクター特有の清冷な気品を維持する手助けとなってくれました。背景が暗いため顔への補助光は強くなりすぎないよう抑え、横顔のアングルから肌の透明感を綺麗に引き出しました。今回は大胆なあおり(ローアングル)構図にも挑戦し、身体の動きに合わせて衣装のドレープを満開の花のように美しく広げることで、『東方Project』のキャラクター世界観にふさわしいゴースト風の写真撮影の境地を見事に表現できました。